6月は各地で光太郎詩を取り上げて下さる朗読イベントなどがいろいろあります。

まず、山梨県韮崎市から。

大人の為の朗読会・朗読のつどい 

心に響く詩や文学作品を耳から味わいます。他者の選ぶ本の良さを体感し、読書の幅を広げてみませんか?

期     日 : 2017年6月17日(土)
時     間 : 午後2時から3時
会     場 : 韮崎市市民交流センターNICORI ニコリ2階会議室9
            山梨県韮崎市若宮一丁目2番50号
料     金 : 無料
問い合わせ   : 韮崎市立大村記念図書館 0551-22-4946
プログラム   :
 梅薫る         藤沢周平 作    朗読・深澤恵美子さん
 頭のふりかけ購入記   東海林さだお 作  朗読・飯久保博幸さん
 蜘蛛の糸        芥川龍之介 作   朗読・斎藤豊子さん
 智恵子抄        高村光太郎 作   朗読・金丸芳子さん
 注文の多い料理店    宮沢賢治 作     朗読・清水薫さん

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このブログで繰り返し述べていますが、光太郎詩――というか詩に限らず散文なども――意外と朗読向きです。そういうふうに意識して作っていたわけではないのでしょうが、日本語に対する鋭敏な感覚が行き届いているため、結果として、朗読してみると非常にしっくりし、日本語としての美しさが際だつように思います。

むろん、内容が伴ってのことです。朗読してみてリズム感にあふれ、語感もすばらしい、しかし、では、その作品を通して何を訴えたいの? 内容が無いよう、と、つっこみたくなる作品が取り上げられることが多々あります。その点、光太郎作品は、大自然への讃仰、人間賛歌、さまざまな人々へのエール(それが昂じて戦時中には道を踏み誤りましたが)など、いずれも単純そうに見えてそれぞれひとひねりがあり、いいもの揃いです。

プロアマ問わず、朗読愛好者のみなさん、ぜひ光太郎作品をどんどん取り上げて下さい。


【折々のことば・光太郎】

その詩は姿を破り姿を孕む。 その詩は電子の反撥親和だ。 その詩は眼前咫尺に生きる。

詩「その詩」より 昭和3年(1928) 光太郎46歳

「咫尺」は「しせき」と読み、その前の「眼前」と同じく「至近距離」の意。詩は人情の機微や人間生活に密着したものでなければならない、的な考えの表出と捉えたいところです。