日本絵手紙協会さん発行の雑誌『月刊絵手紙』の2017年6月号をご紹介します。
同誌では、これまでもたびたび光太郎智恵子を取り上げてくださり、先月号では「すべては「詩魂」ありてこそ 高村光太郎の書」という題で、10ページの特集を組んでくださっていました。
そして今号からは、「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という新連載が始まりました。ありがたや。
今月号は、詩「粘土」(大正3年=1914)から15行ほどが抜粋されています。サブタイトルの「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす」は、その最終行に含まれる詩句です。バックには光太郎ブロンズ彫刻代表作の一つ「手」(大正7年=1918)があしらわれています。
おそらく来月号以降もこんな感じで続くのでしょう。いつまでも続けていただきたいものです。
【折々のことば・光太郎】
その詩をよむと詩が書きたくなる。 その詩をよむとダイナモが唸り出す。 その詩は結局その詩の通りだ。
詩「その詩」より 昭和3年(1928) 光太郎46歳
光太郎は詩人として著名ですが、評論などの散文では詩の方法論的なものをほとんど書き残していません。
代わりに、というわけでもありませんが、この「その詩」が、光太郎の考えていた詩の方法論を端的に示しています。ただし、あくまで詩ですので、直截な表現ではなく、象徴や比喩を多用し、しかし味わい深い方法論が展開されています。