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第5回コーロ・フェリーチェ演奏会
期 日 : 2017年5月27日(土)場 所 : 豊橋市民文化会館ホール 愛知県豊橋市向山大池町20-1
時 間 : 開場 16:00 開演16:30
指 揮 : 山田久美
ピ ア ノ : 野口奈津子
料 金 : 1,500円
問い合わせ : 0532-63-2541(山本)
プログラム : 【Ⅰ部】女声合唱のための「日本叙情歌~さくらさくら~」
【Ⅱ部】鈴木憲夫作品より「五月の森で」「昼の月」 「レモン哀歌」
【Ⅲ部】混声合唱組曲「心の四季」全曲
≪賛助出演≫ 男声合唱団ふんけんクラブ
【Ⅱ部】鈴木憲夫作品より「五月の森で」「昼の月」 「レモン哀歌」
【Ⅲ部】混声合唱組曲「心の四季」全曲
≪賛助出演≫ 男声合唱団ふんけんクラブ
プログラムで見る限り、コーロ・フェリーチェさんは女声合唱団のようです。Ⅲ部で男声合唱団さんが賛助出演され、混声合唱組曲を演奏されますが、Ⅰ、Ⅱ部はフェリーチェさん単独での演奏でしょう。
となると、鈴木憲夫氏の「レモン哀歌」も女声版ですね。同曲には混声版、さらに独唱版もあります。女声版が最初に作曲されたようで、平成23年(2011)にカワイ楽譜さんから出版されています。続いて独唱版、混声版が翌年に刊行されました。女声版の初演は平成22年(2012)、市川市文化会館で女声合唱団コール・ベルさんによる委嘱作品としてでした。
昨年、香川の高松混声合唱団さんの定期演奏会で、混声版が演奏されています。そちらを紹介した記事で、その前年、香川県合唱祭で同団がこの曲を演奏した際の動画を貼り付けておきましたが、再掲します。女声版の動画は見つかりませんでした。
昨年も書きましたが、途中でめまぐるしく転調したり、変拍子を多用したり、奇妙な不協和音をやたらとはさみこんだりといった最近流行の手法は用いず、奇を衒うことなく、最初から最後まで、ゆったりとした清澄な響きを保ち、安心して聴いていられる作品です。メロディーラインが美しく印象的ですし、高音を多用するピアノの伴奏も清澄な響きで好感が持てます。作曲者自身「ことさらに感情を煽るような作曲はせずに、行間に潜む光太郎の息づかいを思い作曲を進めていきました」と語っています。
しかし、ヴォカリーズ(歌詞がなく「a」や「o」などの母音での歌唱)の部分が多く、作曲者の指定では約7分40秒と長め(上記の高松混声さんはそれよりゆっくりのテンポで演奏されているようです)で、それほど簡単な曲ではありません。女声版は混声版と比べると、少し難易度が高そうです。女声合唱は通常ソプラノ、メゾソプラノ、アルトの3パートで歌うものですが、ヴォカリーズの部分は基本的に4部で作られており、その中でぶつかりながら平行に移動する箇所があったりします。また、混声版でもそうですが、ソプラノにA(固定ドでの「ラ」)やG(同じく「ソ」)の持続音がけっこうあり、下手な合唱団では「悲鳴」になる音域です。
きちんと演奏できれば非常にいい曲ですので、広まってほしいものです。
【折々のことば・光太郎】
地震で東京から逃げて来た人達に 何も出来ない高原をあてがつた者があるのですなあ ジヤガイモを十貫目まいたら 十貫目だけ取れたさうですなあ
詩「彼は語る」より 昭和3年(1928) 光太郎46歳
「彼」は北海道弟子屈にいた詩人・アイヌ研究家の更科源三です。このフレーズの前後、更科の語った北海道開拓農民の実態が記されています。
「地震」は大正12年(1923)の関東大震災。ここで思い出すのは、東日本大震災による原発事故で、「自主避難」をしている人達に「自己責任」と言い放ったトンデモ発言。この国の体質は、90年近く経っても変わらないのですなあ。