『毎日新聞』さんの長崎版に以下の記事が載りました。
障害者成人式 社会への一歩、決意新たに 「7300日」の歩み振り返る 長崎
身体障害などがある新成人の成人式が9日、長崎市茂里町の市障害福祉センターで開かれた。新成人40人や家族、施設関係者らが出席。家族らはこれまでの歩みを振り返りながら祝い、新成人は社会への一歩を踏み出す決意を新たにした。【今野悠貴】式は長崎市心身障害者団体連合会が主催。今回は誕生から20歳までが7300日であることにちなみ「7300日の感謝」をテーマに掲げた。来賓の田上富久市長は高村光太郎の詩「道程」を紹介し「7300日分の頑張った努力の成果で皆さんの後ろに道ができた。これからも新しいことにチャレンジして、道を切り開いてください」とあいさつした。
新成人を代表し、同センターで働く松尾澄佳さん(19)が「このように成長できたのも両親、私たちに関わってくださった方々のお陰」と感謝し「これからも向上心を持って頑張ります」と誓った。
長男拓未さん(20)の成人を祝った薛(せつ)和子さん(49)=長崎市=は「小さい頃は病気がちだった息子が無事に成人を迎え、本当にうれしい。これから少しずつできることを増やして自立してほしい」と話した。
9日の成人の日の話題です。ハンデを抱える皆さんの成人式、ということでニュースになったようです。被爆地・長崎の市長として、核廃絶の活動にも積極的に取り組まれている田上市長のスピーチに、光太郎の「道程」が使われたとのこと。
おそらく他にも全国の自治体の首長さんなり、来賓の方なりが、「道程」などを引用しつつお話をして下さったのではなかろうかと思います。
光太郎の詩は、自らを奮い立たせるエールとして作られたものが多いのが特徴です。しかし、光太郎自身、「一人に極まれば万人に通ずる」(「智恵子の半生」昭和15年=1940)と発言しているとおり、普遍的なエールとして通用するものです。
これからの卒業式シーズン、新生活スタートのシーズンなどでも、新たな道へと進みゆく方々へのエールとして、光太郎の詩が愛され続けていってほしいと、切に願います。
【折々のことば・光太郎】
お嫁にゆくを わるいと誰が申しませう わるいと誰が申しませう どうせ一度はゆくあなた――
詩「泥七宝(四)」より 明治45年(1912) 光太郎30歳
この時期、智恵子には郷里で縁談が持ち上がっていたというのが従来の定説でした。この小曲なども、それを裏付ける証左とされています。
しかし、その相手として従来言われていた智恵子の郷里の医師某は、この時点では既に他の女性と結婚していたことが明らかとなり、見直しが迫られています。
他の人物との縁談があったのか、はたまた具体的な相手までは未定でも郷里では智恵子を早く結婚させようと画策していたのか、といったところではないかと思われます。
または、縁談自体が光太郎の気を惹こうとする智恵子のブラフだった可能性も棄てきれません。