大晦日にNHK総合さんで放映された連続テレビ小説「とと姉ちゃん」総集編を拝見しました。
雑誌『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子をモデルとしたドラマで、昨年4月から10月にかけての本放送では、明治44年(1911)、智恵子がその表紙絵を描いた雑誌『青鞜』が重要なモチーフの一つとしてくりかえし使われ、『青鞜』主宰の平塚らいてうも登場していましたが、総集編でもそれらのシーンがふんだんに使われていました。
さて、NHK BSプレミアムさんでも放映があります。
前編 NHK BSプレミアム 2017年1月8日(日) 12時45分~14時15分
連続テレビ小説「とと姉ちゃん」総集編の前編。1週目、ととから託された約束を胸に、家族を守る決意をした常子は、断絶した祖母と母の絆を奔走して取り戻し、さらに新たな人生の決断をする。女性のための雑誌をつくろうとする前の、常子の少女時代・青春時代を描きます。
後編 NHK BSプレミアム 2017年1月8日(日) 14時00分~15時28分
連続テレビ小説「とと姉ちゃん」総集編の後編。11週から26週間までを網羅。常子が戦中の経験を経て出版社を起こし、戦後の日本で奮闘する一家の姿を描く。魂のパートナー花山伊佐次との出会いと別れを主軸に描く。
出演 高畑充希 西島秀俊 木村多江 相楽樹 向井理 片岡鶴太郎 大地真央 坂口健太郎 秋野暢子 ピエール瀧 平岩紙 杉咲花 川栄李奈 浜野謙太 佐藤仁美 上杉柊平 阿部純子 石丸幹二 野間口徹 矢野聖人 伊藤淳史 奥貫薫 古田新太 唐沢寿明 ほか
語り 壇ふみ
ぜひご覧下さい。
ところで、『青鞜』。
昨年末に、明治45年(1912)6月発行の、第2巻第6号を入手しました。
前年9月の創刊号と同じ、智恵子の作品を表紙に使っています。
さらに、この号は智恵子が書いた「マグダに就て」という文章が載っています。
『青鞜』には智恵子の表紙絵は2種類(少しだけデザインの異なるものを含めれば3種類)、のべ8回使われましたが、文章の寄稿はこれが唯一のものです。
「マグダ」は、島村抱月の文芸協会が上演した演劇で、松井須磨子が主人公・マグダを演じ、自立しようとする女性像を描いたものでした。ただし、智恵子にしても、平塚らいてうにしても、やや批判的な評を載せています。
文章自体は『高村光太郎全集』別巻などに再録されていますし、基本、この手のものは蒐集の対象にはしていないのですが、安く売りに出ていたので購入しました。やはり、再録された資料で読むよりも、当時の刊行物ですので、何やら智恵子の息吹のようなものが感じられます。
展示等でお貸しすることも可能ですので、必要とあらば、このブログコメント欄(非公開設定可)にて連絡ください。
【折々のことば・光太郎】
自然に向へ 人間を思ふよりも生きた者を先に思へ 自己の王国に主たれ 悪に背(そむ)け
詩「声」より 明治44年(1911) 光太郎29歳
詩「声」は、二人の人物の論争という形式で書かれています。一人は自然志向、アウトドア派で、都会の生活に否定的。「みじんこ生活の都会が何だ」「すべてを棄てて兎に角石狩の平原に来い」と誘います。
もう一人は都会派。「そんな隠退主義に耳をかすな」「絵に画いた牛や馬は綺麗だが/生きた牛や馬は人間よりも不潔だぞ」と、警告を発します。
上記のことばは、自然志向の人物が発した言葉です。このことばの通り、この年、光太郎は酪農を営みつつ芸術を生み出す生活を夢見て、実際に北海道に渡りました。