和歌山県立近代美術館さんで、特別展「動き出す!絵画 ペール北山の夢―モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち―」が開幕しました。

大正期、美術雑誌『現代の洋画』などを発行し、光太郎も加わったフユウザン会のパトロンでもあった、北山清太郎にスポットを当てた展覧会で、光太郎の油絵「上高地風景」「佐藤春夫像」も展示されています。

北山が和歌山出身ということもあり、地元紙や全国紙の和歌山版で、大きく取り上げられています。光太郎の名が記事にあるもののみ紹介します。


まず『わかやま新報』さん。

洋画支えたペール北山を軸に 近代美術館

009大正時代に西洋の美術を積極的に紹介し、日本の若手画家たちを支援した和歌山市出身の北山清太郎(1888~1945)に焦点を当てた展覧会『動き出す!絵画ペール北山の夢―モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち―』が、同市吹上の県立近代美術館で始まった。来年1月15日まで。北山が創刊した美術雑誌で紹介した海外の巨匠たちと、その影響を受けた日本画家の作品、全国約70カ所から集まった約170点を一挙に展示している。
3年に1度開く大規模展覧会の第1弾。北山は明治45年(1912)に美術雑誌『現代の洋画』を創刊し、西洋美術を盛んに取り上げた。高村光太郎や岸田劉生ら、若い洋画家たちが興した美術団体「ヒユウザン会」(のちフュウザン会)の展覧会運営に携わり、目録や機関紙の発行を手掛け、活動を支えた。ゴッホを支援したペール・タンギーになぞらえ、「ペール北山」と呼ばれていたという。
大正5年には美術の世界を離れ、国産アニメーションの制作に没頭。ちょうど100年前の大正6年(1917)、〝動く絵〟である日本の最初のアニメーションを手掛けた開拓者の一人としても知られている。
会場には、ゴッホの「雪原で薪を集める人びと」や、水浴の裸婦を温かい色調で表現したルノワールの「泉による女」など、名だたる画家の名画の他、少女の視線や表情が印象的な岸田劉生の「童女図(麗子立像)」などが並ぶ。
また、北山が手掛け、大正初期に発表されたアニメーション作品「浦島太郎」も紹介されている。
同館の宮本久宣主査学芸員(43)は「日本の画家がどのように西洋美術に影響を受け、受容していったのか、日本と西洋の表現を見比べながら鑑賞してもらえれば。日本の美術を動かすきっかけとなった北山清太郎という人物が、この和歌山にいたことを知ってもらいたい」と話している。
関連事業として、26日午後2時から同館2階で、現代美術作家の森村泰昌さん
 と同館の熊田司館長による対談講演会「動く私、動く自画像」が開かれる(先着120人、午前9時半から整理券配布)。
展覧会は午前9時半から午後5時(入館は4時半)まで。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。


それから、『ツー・ワン紀州』さん。

動き出す!絵画、ペール北山の夢 19日~来年1月15日 和歌山県立近代美術館

010「動き出す!絵画、ペール北山の夢、モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」(和歌山県立近代美術館ら主催)が19日(土)~来年1月15日(日)まで和歌山市の県立近代美術館で開かれる。
大正時代、西洋美術に学び、新たな表現によって時代を動かそうとした若き洋画家たちを支えた和歌山出身の北山清太郎(1888~1945)の視点を手がかりに、彼らが憧れた西洋美術と彼らの表現を紹介する。

1章=動き出す夢‐ペール北山と欧州洋画熱はカミーユ・ピサロ(ポントワーズのレザールの丘)、パブロ・ピカソ(帽子の男)など実際の作品を紹介。2章=動き出す時代‐新婦朝者たちの活躍と大正の萌芽は斉藤与里、山脇信徳、斎藤豊作。第3章=動き出す絵画‐ペール北山とフュウザン会、生活社は木村荘八、高村光太郎など。4章=動きした先に‐巽画会から草土社へは椿貞雄などに続く。

観覧料は一般1000円、大学生800円、高校生以下、65歳以上、障害者、県内在学中の外国人留学生は無料。

問い合わせは同美術館TEL073・436・8690。


続いて、主催に名を連ねている『読売新聞』さんの和歌山版。

新時代へ 描いた夢 ◇「動き出す!絵画」展内覧会へ 北山清太郎紹介

 大正時代の画家たちの創作活動を支援した和歌山市出身の北山清太郎(1888~1945)の活動を通して名画の数々を紹介する「動き出す!絵画 ペール北山の夢―モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」展(読売新聞社など主催)が19日、和歌山市吹上の県立近代美術館で開幕する。北山が創刊した雑誌で紹介した海外の巨匠たちと、その影響を受けた岸田劉生ら日本の画家の作品計約170点が一堂に会する。18日には、関係者向けの内覧会があった。(石黒彩子)
 北山は和歌山市生まれ。1912年、美術雑誌「現代の洋画」を創刊し、積極的に西洋美術を紹介。カラーで掲載される名画の数々に、多くの日本の画家たちが感化された。
 同年、西欧留学から帰国した高村光太郎は、岸田らを加えて、美術家集団「ヒユウザン会」(のちのフュウザン会)を結成。北山は同会の活動を支援し、展覧会目録や機関誌の発行を手がけた。パリでゴッホら若い画家を支えた画材商のペール・タンギーになぞらえ、「ペール北山」と呼ばれたという。
 北山はその後、アニメーションの世界に転身し、1917年には日本で最初のアニメーション作品を発表した1人になった。展覧会の名称は“動く絵”の制作を手がけ、大正時代の日本美術を動かした北山にちなんでいる。
 画集で紹介され、当時の日本の画家たちに影響を与えたゴッホの大作「雪原で 薪まき を集める人びと」や、岸田の代表作である「童女図(麗子立像)」など国内約70か所から集めた逸品ぞろい。宮本久宣・主査学芸員は「日本の画家が西洋絵画からどのように影響を受け、自分の表現に生かしていったかを対比しながら鑑賞できる貴重な機会。和歌山にそのきっかけを作った人がいたと知ってほしい」と話す。
 19日は午前9時30分から、開会式があり、同10時に開場。20日以降は午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)。来年1月15日まで。一般1000円、大学生800円、高校生以下や65歳以上などは無料。原則月曜日休館。
 問い合わせは同美術館(073・436・8690)へ。
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さらに『毎日新聞』さんの和歌山版。

西洋×日本、大正の若き洋画家たち 近代美術、目玉作品が集結 北山清太郎ゆかりの作品170点展示 和歌山 /和歌山

 西洋と近代日本の美術作品を集めた展覧会「動き出す!絵画 モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち」が19日から、県立近代美術館(和歌山市吹上1)で開かれる。大正時代、美術雑誌の発行などを通して日本の洋画家たちを支えた和歌山市出身の北山清太郎(せいたろう)(1888~1945年)にスポットを当て、ゆかりの作品約170点を展示する。来年1月15日まで。
 
 北山は和歌山市で生まれ育ち、19歳の頃、横浜に移り住んだ。1912年、美術雑誌「現代の洋画」を創刊。積極的に西洋の美術を紹介した。
 この年、西欧留学から帰国した斎藤与里(より)と高村光太郎に岸田劉生(りゅうせい)らが加わり、美術団体「ヒユウザン会」(後のフュウザン会)を結成。展覧会を開いて注目を集めた。北山は会の運営や目録・機関誌の発行を担った。
 14年に別の美術団体の運営を任され、更に15年には岸田らと展覧会を開催。北山は当時の美術に新たな動きを起こした。画家たちは、パリでゴッホらを支援した画材商のペール・タンギー(タンギー親爺)になぞらえて「ペール北山」と呼んだ。16年以降、北山はアニメーション制作に取り組むようになった。
 同展では、北山が雑誌などで紹介したセザンヌ、モネ、ルノワール、ゴッホら印象派や後期印象派の作品を展示。北山と交流のあった岸田劉生、萬(よろず)鉄五郎、木村荘八(しょうはち)ら日本の洋画家の作品も一堂に集めた。
 展覧会のタイトルは、北山が美術の新しい動きを起こし、アニメを制作したことを示すという。企画した学芸員の宮本久宣さんと青木加苗さんは「当時のエネルギーが充満した展示空間になる。全国の美術館で目玉となる作品が集結するまたとない機会なので、ぜひ見に来てほしい」と話している。
 観覧料1000円、大学生800円。高校生以下無料。1月9日を除く月曜と12月29日~1月3日、10日は休館。11月26日に森村泰昌さんによる対談講演会▽12月23日に手回しアニメフィルム上映・解説会▽1月8日にレクチャーコンサートがある。いずれも午後2時から。問い合わせは同館(073・436・8690)。【坂口佳代】


当方、東京ステーションギャラリーさんでの東京展を拝見しましたが、さながら反アカデミズム日本近代洋画史、といった感の、非常にボリュームのある展覧会でした。また、豪華な図録が発行されており、貴重な資料です。

関西方面の皆さん、ぜひお出かけを。


【折々の歌と句・光太郎】

初雪や川越殿をふところに        
        明治39年(1906) 光太郎24歳

関東で初雪が降りました。11月としては54年ぶりだそうですし、「降雪」だけでなく「積雪」となると、東京都心では史上初の11月の積雪だとのことです。当方自宅兼事務所のある千葉県は関東でも温暖な地域ですが、それでも現在、みぞれです。

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「川越殿」はサツマイモ。埼玉川越がサツマイモの名産地だったことからそう呼ばれていました。おそらく、ほかほかの焼き芋でしょう。