先週、岩手花巻での、「賢治祭パート2 《追悼と感謝をこめて》」からの帰り、東京駅丸の内口の東京ステーションギャラリーさんに寄り、企画展「動き出す!絵画 ペール北山の夢―モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち―」を拝見して参りました。
同館には、一昨年、「東京駅開業百年記念 東京駅100年の記憶」を拝見しに行って以来でした。
明治末から大正にかけ、青年画家達の活動を裏方から支えて洋画界の発展に寄与し、ゴッホらを支援したペール・タンギーになぞらえ、ペール北山と呼ばれてた北山清太郎に着目した企画展です。光太郎の油絵2点、「上高地風景」「佐藤春夫像」が出ているというので拝見に行きました。
光太郎と交流のあったさまざまな邦人芸術家の作品(絵画を中心に、彫刻、工芸も)、光太郎を含め彼等に影響を与えたモネ、ゴッホ等の作品がずらりとならび、さながら明治大正の反アカデミズム洋画壇史といった趣でした。
作品の借用元として当会でお世話になっている全国の美術館さんが多く、拝見しながらそれぞれの館の館長さんや学芸員さんの顔が浮かび、あらためて感謝いたしました。
「上高地風景」は、今年のはじめ、神奈川県立近代美術館・鎌倉館の閉館記念企画展「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3:1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生」」や、それ以前にも何度か光太郎展的な企画展で拝見していますが、何度観てもいいものです。
「佐藤春夫像」は、あまり光太郎展的な企画展でも展示されず、ことによると20年ぶりくらいに観たかも知れません。図版等はよく観ているのですが、やはり実物は違いますね。
絵画以外に、北山が編集に当たり、光太郎も寄稿していたさまざまな美術雑誌が展示されており、興味深く拝見しました。『現代の洋画』、『ヒユウザン』(のち『フユウザン』)、『生活』、『多津美』など。ただし、ガラスケース越しですので手に取って見るわけにはいかないのが残念でしたが、しかたありません。
また、光太郎も出品した「ヒユウザン会展」や「生活社展」などのポスターや目録もありました。入手したいと思いつつ、高価なため入手できていないものです。
その他、先述の通り、光太郎と交流のあったさまざまな邦人芸術家の作品、光太郎を含め彼等に影響を与えたモネ、ゴッホ等の作品。同館のサイトでは、出品目録が出ていないため、「おお、この絵も出ていたか」という作品も多く、図版でしか知らなかった関連作家の作品など、実に興味深く拝見しました。
頂いてきた出品目録をスキャンしました。下に載せておきます。
また、こちらが公式図録。同館企画展の図録はいつもそうのようですが、分厚く豪華です。今回のものは約350ページ。収められている論考、各ページの解説文等も充実、さらに、先述の北山が編集に当たった美術雑誌類の総目次が掲載されており、貴重な資料です。
値段ははりますが、それに見合う内容です。
同展は11月6日(日)まで。その後、11月19日(土)~2017(平成29)年1月15日(日)には和歌山県立近代美術館さん、2017年1月28日(土)~3月12日(日)で下関市立美術館さんに巡回するそうです。
ぜひ足をお運びください。
【折々の歌と句・光太郎】
なにとなく涙こぼれてある夕かの青き空高しと思ひぬ
明治33年(1900) 光太郎18歳
昨日は関東地方、久しぶりに晴れました。夕焼けがきれいでした。