本日はテレビ放映系のネタをいくつか。

7/13(水)、岩手盛岡少年刑務所での第39回高村光太郎祭での講演を仰せつかり、市街内丸の北ホテルさんに宿泊しておりましたが、その朝、NHKさんの「連続テレビ小説 とと姉ちゃん」で、智恵子がその創刊号表紙絵を描いた『青鞜』に触れられました。

この番組で『青鞜』ネタになるのは都合3回目。最初は、高畑充希さん演じる主人公・小橋常子(モデルは『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子)や妹の鞠子(相良樹さん)、親友の中田綾(阿部純子さん)らが女学校時代、片桐はいりさん扮する東堂先生に『青鞜』の存在を教えられ、影響を受けたというエピソード。2回目は、戦後、没落した綾が常子と再会、苦しい時も『青鞜』を心の支えとして頑張ってきたと語るシーンでした。

そして3回目。

大橋鎭子と共に『暮しの手帖』を刊行した花森安治がモデルの花山伊左次(唐沢寿明さん)が、過去を語る場面。亡くなった花山の母がやはり『青鞜』を精神的支柱としており、そこから、花山は言葉で人の心を豊かにすることを考えて、編集者の道を歩み始めたと語られました。

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しかし、戦争が始まり、事態は一変。花山は言葉によって、ある意味、国民を死に追いやることに加担したと述べます。その反省から、ペンを置くことにしたのだ、とも。

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このあたり、光太郎を彷彿とさせられます。

光太郎も戦時中の翼賛活動を恥じ、悔い、花巻郊外太田村の粗末な山小屋に7年間蟄居しました。ただし、その間、光太郎が置いたのはペンではなく、彫刻刀。光太郎は自身で「私は何を措いても彫刻家である」と語っていましたので、その本業である彫刻を封印することで、自らを罰したわけです。

他から許されないうちは、自分でも自分を許さないと決めた光太郎でしたが、7年後に、青森県から十和田湖の国立公園指定15周年記念事業としてのモニュメント制作の話があり、自らの死期がそう遠くないことも考え、依頼を受けます。それが「乙女の像」として結実するわけです。

結局花山は、困窮する常子一家の現状を見、さらに荒廃した人心を再び豊かにすることを考え、常子に協力して再びペンを執ることを選ぶところで、先週の放映が終わりました。


今後も『青鞜』はこのドラマの一つのモチーフとして活かされ続けるようです。というか、平塚らいてうが登場します。

昨日の『スポーツニッポン』さんの記事。 

「とと姉ちゃん」平塚らいてう役に真野響子 最後の追加出演者発表、古田新太ら出演

 女優の高畑充希(24)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(月~土曜前8・00)の最後の追加キャストが15日に発表され、作家の平塚らいてう役を女優の真野響子(64)が務めることが分かった。俳優の筧利夫(53)、上杉柊平(24)、古田新太(50)、野間口徹(42)、矢野聖人(24)、石丸幹二(50)、吉本実憂(19)も出演する。

 昭和初期から高度経済成長期を背景に、亡き父親に代わり、一家の大黒柱として母親と2人の妹を守る「とと(=父)姉ちゃん」こと小橋常子(高畑)が戦後の東京で女性向け雑誌を創刊する姿を描く。モデルは雑誌「暮しの手帖」を創刊した大橋鎭子(しずこ)。

 真野は高畑演じる常子が女学校時代、夢中になって読んだ雑誌「青鞜」創刊メンバーの中心人物、平塚らいてう役。常子の妹・鞠子(相楽樹)から雑誌「あなたの暮し」への寄稿をお願いされる。

 古田は雑誌「あなたの暮し」で自社製品の評価が低かったことに激怒する電化製品メーカーの社長役。朝ドラ初出演となる吉本は、鞠子の長女で常子の最初のめいとなる水田たまきを演じる。常子に性格が似ていて、のちに「あなたの暮し」出版に入社する。

 筧は水田正平(伊藤淳史)の父、上杉は宗吉(ピエール瀧)が経営する「キッチン森田屋」のコック、野間口は古田演じる電化製品メーカー社長のおいで会社の部下、石丸は新聞記者を演じる。

 制作統括の落合将氏は「日本が戦争の傷跡から立ち直り、豊かになっていく時代の中でも、常子と花山(唐沢寿明)の“庶民の暮らし”を守るためのスタンスは変わりません。追加の豪華キャストの方々と、この物語の最後で常子と花山がどんなドラマを繰り広げるか、最後まで見守っていただければと願います」とコメントした。


前作、「あさが来た」では、終盤、日の出女子大学校(日本女子大学校)時代の小生意気ならいてうを、元AKB48の大島優子さんが演じていました。

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戦後になって成長した(笑)らいてうを、真野響子さんが演じるとのこと。レギュラー出演者ではないにせよ、朝ドラ2作続けて同一人物が描かれるというのは、例がないのではないでしょうか。楽しみです。


さて、テレビ放映系のネタということで、もう1件。明日のオンエアです。 

にっぽん百名山「安達太良山」

NHKBSプレミアム 2016年7月18日(月)  19時30分~20時00分

福島県の安達太良山は、ダイナミックな噴火口を持つ火山の荒々しい素顔と山麓に広がる新緑の森が対をなし、変化に富んだ景観で登山者を魅了する。今回は1泊2日の山旅だ。

安達太良山は、磐梯山と並んで福島を代表する名峰だ。ダイナミックな噴火口を持つ火山の荒々しさと山麓に広がるたおやかな樹林帯が対をなし、変化に富んだ景観が登山者を魅了する。今回は山の東側、塩沢登山口から1泊2日のコース。1日目は、初夏にふさわしい爽快感を味わえる新緑の森と渓谷沿いを進む。宿泊は「くろがね小屋」。2日目は、荒々しい岩石が連なる尾根を進み、大迫力の巨大噴火口跡の沼ノ平から絶景の山頂に。

出演 佐藤哲朗    語り 鈴木麻里子   テーマ曲「空になる」さだまさし

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この番組では、昨年にも安達太良山が取り上げられ、その再放送が今年3月にありました。再々放送かな、と思ったら、新作のようです。

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昨年のオンエアでは光太郎の「あどけない話」が取り上げられましたが、今回はどうなることか。ちょっとでもいいので触れて欲しいものです。


また、来週には十和田湖をメインで取り上げる番組もありますが、またのちほどご紹介いたします。


【折々の歌と句・光太郎】

海にして太古(たいこ)の民のおどろきをわれふたたびす大空のもと
明治39年(1906) 光太郎24歳

かなり前にご紹介しましたが、明治39年(1906)、海外留学のため横浜から出航したカナダ太平洋汽船の貨客船、アセニアン船上で詠んだ短歌のうち、最も有名な作であり、光太郎自身も気に入っていたものです。「海を見て」となっているバージョンも存在します。