皇居東御苑内の三の丸尚蔵館さんで開催中の展示「古典再生――作家たちの挑戦」について、昨日の『毎日新聞』さんの東京版に記事が載りました。光雲の名を大きく取り上げて下さっています。 

古典に挑んだ作品並ぶ 皇居の尚蔵館で19日まで 高村光雲、横山大観など /東京

 皇居・東御苑の三の丸尚蔵館で展覧会「古典再生?作家たちの挑戦」の後期展示が開催されている。高村光雲や横山大観など日本を代表する芸術家の作品が並ぶ。19日まで。

 今回の展示は、明治維新によって急速な西欧化が進むなか、古典に目を向け、自らの作風に取り入れながら創作を行った作家の作品が並んでいる。

 仏師の元で修行を積んだ高村光雲(1852?1934年)の木彫「猿置物」は、猿回しの猿が御幣と鈴を持ち、能楽の「三番叟(さんばそう)」を舞っている作品。昭和天皇の弟の秩父宮から、母親の貞明皇后に献上された。東京美術学校(現在の東京芸大)に依頼され、同校教授の高村が23(大正12)年に制作した。高村はかつて皇居にあった明治宮殿の室内装飾の彫刻にもたずさわっている。
 明治から昭和にかけて活躍した横山大観(1868?1958年)の日本画「秩父霊峯春暁」は埼玉県秩父市の秩父神社の依頼で28(昭和3)年に制作された。横山が実際に現地でスケッチして描いたもので、墨の濃淡などで秩父の山々や朝もやを表現した。
 入館無料。午前9時?午後4時45分。月、金曜休館。皇居大手門、平川門、北桔橋門から入門。最寄り駅はJR東京駅、地下鉄大手町駅、竹橋駅。【高島博之】

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光雲作品は、記事にある「猿置物」と「養蚕天女」。どちらも恐ろしいほどの刀の冴えで、まさに超絶技巧の逸品です。

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その他の展示品はこちら。ただし、現在の展示は「後期」です。画像一番右をご確認下さい。

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やはり記事にある横山大観の「秩父霊峯春暁」も、実に見事なものでしたし、他の作品もそれぞれに力のこもった作ばかりでした。やはり、ほとんどが皇室への献上品ということで、各作家の力の入れようも並々ならぬものがあるのでしょう。

来週日曜までの開催です。ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

檜の香部屋に吹きみち切出の刃さきに夏の雨ひかりたり
大正13年(1924) 光太郎42歳

その光雲から受け継いだ彫刻刀の技を活かし、さらに工夫を加えて独自の木彫に挑んでいた頃の作です。