昨夜は、2日に執り行った第60回連翹忌の後始末もほぼ終わり、時間が取れたので、東京・新橋に行っておりました。

内幸町ホールさんにて開催の、「第29回ゆーりんプロデュース公演 ~詩と語りと芝居で紡ぐ~「智恵子抄」」拝見のためです。

主催は声優としてもご活躍中のよこざわけい子さんが代表を務められる「ゆーりんプロ」さん。かなりの大所帯のようで、1回の公演で20名以上のキャスト、それが10公演(複数回ご出演される方もいらっしゃいますが)。したがって、同プロあげての大規模な公演だったようです。

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一昨日から公演が始まり、昨夜は2回目の公演で、「☽チーム」さんという方々のご出演でした。一昨日は「☆チーム」さんだったので、「☽チーム」さんとしては初の舞台でした。

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こちらは会場のホワイエ。パネルで関連写真等の展示が為されていました。

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こちらで今回の公演のテーマ曲「春の吹雪」という曲のCDが販売されており、早速ゲットしました。よこざわけい子さんの作詞だそうです。ジャケットには光太郎の愛した連翹の花。

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ホワイエのテーブルには桜とレモン。こういう細か001なこだわりは好ましいですね。

さて、いよいよ公演を拝見しました。

途中休憩なしで、2時間10分ほどの長い舞台でした。光太郎の実弟・豊周の子息で写真家の故・規氏が、ストーリーテラー。

社会思想社さんから規氏や当会顧問の北川太一先生、故・伊藤信吉氏の編による『紙絵と詩 智恵子抄』が刊行された昭和40年(1965)に、その出版にからめて、若き日の規氏が光太郎智恵子を回想する、という設定でした。そこで、公演のパンフレットは同書の表紙を模したデザインになっていました。

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生前の規氏に、千駄木のご自宅碌山美術館さんなどでお話を伺ったことを懐かしく思い出しました。

物語は、明治末のパンの会の狂躁あたりから、光太郎智恵子の出会い、恋愛時代、結婚生活、そして実家の没落や進まない絵画修行から、徐々に心を病む智恵子、そしてその死、智恵子没後の光太郎と、ほぼオーソドックスに進みました。親しくさせていただいている渡辺えりさん作の「月にぬれた手」などは、かなり前衛的で、観る人を選ぶ芝居、という感じでしたが、こちらはかなりわかりやすい作りでした。

また、プロジェクタで古い写真を投影するなどの演出も見事でしたし、脚本も、当時の関係者の回想などからの引用が効果的に使われ(智恵子の主治医だった斎藤玉男など)、好感が持てました。

2時間10分の長い舞台でしたし、役者さん達の熱演もあり(生身の人間が目の前で演じているのを観る、というインパクトは大きいと思います。)、一般の方々にも二人の辿った道程が理解しやすかったのではないかと思います。当方も制作のお手伝いさせていただいたNHKさんの「日曜美術館」や「歴史秘話ヒストリア」などは、よくまとまってはいましたが、いかんせんそれぞれ45分間と尺が短く、ある意味、消化不良の感がぬぐえませんでした。

個人的には岩手太田村時代の話がもう少しあっても良かったのかな、という気もしましたが、欲張りすぎでしょうか。

終演後の出演者の方々。

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本公演は明日まで、さらに会場で戴いたチラシによると、「よこざわけい子 声優・ナレータースクール 第二十三期生 卒業公演」ということで、11日(月)~14日(木)、同じ内幸町ホールさんで公演があるそうです。

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ぜひ足をお運びください。


【折々の歌と句・光太郎】

「ゴンドラ」にゆらりと乗りぬ春の宵  明治42年(1909) 光太郎27歳

一昨日からの連作で、イタリア・ベネチアでの作。すべて留学仲間の画家・津田青楓(パリ在住)に送った絵葉書にしたためられたものです。