当会顧問・北川太一先生の盟友だった、故・吉本隆明関連です。
まずは新刊情報から。
人と社会の核心にある問題へ向けて、深く垂鉛をおろして考えつづけた思想家の全貌と軌跡。
第12巻には、中世初期の特異な武家社会の頭領でありながら、和歌の作者でもあった源実朝の実像に迫る『源実朝』と、同時期の評論・エッセイ、および詩を収録。単行本未収録3篇を含む。第9回配本。
月報は、中村稔氏・ハルノ宵子氏が執筆!
一昨年から刊行が始まった晶文社版『吉本隆明全集』の第7回配本です。既刊の第5巻、第7巻、第4巻、第10巻、第9巻でも光太郎に触れられていましたが、今回の巻でも目次に「究極の願望[高村光太郎]」という項目がありますし、他にも光太郎に触れる文章が含まれているかも知れません。
吉本がらみでもう1件。
生前の吉本と親交があったコピーライターの糸井重里さんによる、「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトがあります。その中に「吉本隆明プロジェクト」というコーナーがあり、吉本が生前に行った講演の音声データが昨年から順次公開されはじめ、全183講演が出揃いました。
光太郎に関する講演も含まれています。
A006詩人としての高村光太郎と夏目漱石 (昭和42年=1967 東京大学三鷹寮)
A013高村光太郎について――鷗外をめぐる人々 (昭和43年=1968 文京区立鷗外記念本郷図書館)
タイトルで「光太郎」の文字が入っているのは上記2件ですが、他にもあるかも知れません。
2件とも、昭和48年(1973)、勁草書房刊行の『吉本隆明全著作集8 作家論Ⅱ』に文字化されて収録されていますが、文字で読むのと音声で聴くのとでは、また違った感じですね。
ぜひお聴き下さい。
【折々の歌と句・光太郎】
朝曇り窓より見れば梨の花 明治42年(1909) 光太郎27歳
自宅兼事務所の周囲も、ソメイヨシノがちらほら咲き始めました。近くにはありませんが、梨の花もそろそろ咲き始めているような気がします。