2/28(日)、郡山市で開催中の「第二楽章 男鹿和雄展―吉永小百合と語り継ぐ―」/「未来のわたしたちへ~ほんとの空~」絵画展覧会」会場をあとに、いわき市上小川地区にある、当会の祖にして光太郎と最も縁の深かった詩人の一人、草野心平の生家へと愛車を走らせました。
この日は、心平の弟で、没後に第2回高村光太郎賞を受賞した、草野天平の誕生日というわけで、「草野天平の集い」の開催でした。仙台を拠点に「智恵子抄」の朗読などもなさっている、荒井真澄さんがご出演ということで、寄らせていただきました。
まずは生家近くの常慶寺さんに。心平の墓参です。その代わりといっては何ですが、車を駐めさせていただきました。
その後、歩いて生家に。ここを訪れるのは三度目です。
庭には天平の詩碑も立っています。
入ってすぐの壁に、心平はじめ、家族一同の写真パネルが掲示されていて、以前は気付きませんでしたが、天平も写っています。
正面にも天平の大きな肖像写真。
時間となり、開会。
まずは荒井さんによる天平作品の朗読でした。
兄・心平の詩が、ある意味「ぶっ飛んでいる」のに対し、弟・天平の詩はかなり穏健です。しかしそこはやはり兄弟、相通じるものを感じました。詩だけでなく、散文の朗読もありましたが、そちらも骨太で芯のしっかりした文体、きまじめな天平の性格がよく表れていました。荒井さんの朗読も相変わらず心地よい響きで耳に入ってきました。
その後はギターソロで、天平が愛したというシューベルトの「鱒」やイギリス系のスタンダードナンバー、さらに再び荒井さんが合流して今度は歌を。荒井さんの歌は初めて拝聴しましたが、かわいらしい歌声でした。
約1時間、肩の凝らないプログラムでした。
終演後、天平のご子息・草野杏平氏のご挨拶。
杏平氏、かつて連翹忌にご参加いただいていました。
その後、杏平氏や荒井さんとお話をさせていただき、帰途に就きました。
3年半前、川内村での心平を偲ぶ「かえる忌」の帰途にもここに寄りました。その際は「智恵子抄」などの光太郎詩にオリジナルの曲をつけて唄われているモンデンモモさん、ピアニストの砂原ドルチェ嘉博さんらと一緒でした。
その時はそうでもなかったのですが、一昨日はかなり混んでいました。震災からの復興もある程度進み、人が戻ってきているのだな、と実感しました。いいことですね。
【折々の歌と句・光太郎】
天然の湯に身をひたしわがきくは遠き地中の隠密の声
大正13年(1924) 光太郎42歳
というわけで、温泉を謳った作品です。生涯「自然」を愛した光太郎ですので、温泉にも地球のエネルギー的なものを強くイメージしているようです。