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生誕130年記念交流特別展「北原白秋-詩人の見た風景-」

会   期 : 平成28年1月23日(土)~3月16日(水) ※会期中無休
会   場 : 小田原文学館(小田原市南町2-3-4)
時   間 : 午前9時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分まで)
料   金 : 一般250円、小・中学生100円
         (20名以上で団体割引有、障害者手帳をお持ちのかた割引有)

平成27年に生誕130年を迎えた、詩人・童謡作家として知られる北原白秋(1885~1942年)は、水郷で有名な福岡県山門郡沖端村(現・柳川市)に生まれ、豊かな環境の中で多感な幼少期を過ごしました。
明治37(1904)年に上京すると、詩集『邪宗門』(じゃしゅうもん)、歌集『桐の花』を上梓し、詩壇・歌壇で活躍します。さらに小田原時代には児童雑誌「赤い鳥」で童謡面を担当するなど、その才能はいよいよ輝きを増しました。
一方で、白秋は生涯に30回以上の転居をしたほか、九州巡遊や北海道・樺太旅行など、各地を旅してまわったことでも知られています。
本展では、故郷である柳川市をはじめとしたゆかりの地での白秋の足跡をたどり、生涯にわたる創作活動をご紹介します。

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同時開催「佐藤北久山 白秋挿絵スケッチ創作木版画展」   
白秋没後70年(平成24年)に松永記念館で展示した、佐藤北久山(ほくざん)氏による白秋挿絵スケッチの創作木版画を展示します。
 場所:白秋童謡館 (文学館本館と共通のチケットでご入館いただけます)

関連行事

学芸員による展示解説   
本展担当学芸員が、展示の見どころをご案内します。
日時 平成28年1月31日(日) 2月20日(土) 午前11時00分~ 午後1時30分~(各日2回)
申込不要(当日、直接会場までお越しください)

学んでガッテン学芸員講座   
本展担当学芸員によるギャラリートークと、終了後に懇親会を行います。
日時 平成28年2月6日(土)午後1時30分~3時00分
費用 500円(入館料込み、茶菓付)
申込 清閑亭に電話(0465-22-2834)で。受付時間 午前11時00分~午後4時00分 火曜定休

白秋ミニ・コンサート   
白秋童謡のミニ・コンサートを行います。
日時 平成28年2月20日(土)正午~、午後2時30分~(各30分)※荒天中止
会場 小田原文学館 庭園
出演者
 菊地貴子(ソプラノ)、安藤香織(ソプラノ)、福田美香(ピアノ)、
 吉田裕美子(フルート)
申込不要

白秋をめぐるまち歩き   
展示を観て童謡を聴いて、ゆかりの地を訪ね、白秋をめぐる1日をお楽しみください。
日時 平成28年2月20日(土)午前11時00分~午後3時00分
定員 20名(申込み先着順)  参加費 3,000円(昼食代・ガイド料・入館料込み)
集合・解散小田原文学館
申込 清閑亭に電話(0465-22-2834)で。受付時間 午前11時00分~午後4時00分 火曜定休


北原白秋は、光太郎より2つ年下の明治18年(1885)生まれ。昨年が生誕130年でした(ちなみに今年は智恵子の生誕130年です)。

2人の交流は、明治末の「パンの会」に遡ります。明治44年(1911)に刊行された白秋の詩集『邪宗門』第2版の装幀、表紙装画は光太郎が手がけました。その後も白秋が弟・鉄雄と共に興した出版社・阿蘭陀書房や、それを引き継いで鉄雄が経営したアルスから、光太郎は著書を出版したり、刊行物に寄稿したりしています。

感覚的なところで詩を作る白秋と、論理的に志を述べる詩を得意とした光太郎、そのスタイルは異なりますが、お互いに認め合っていたようです。

昭和17年(1942)、白秋が亡くなった際の光太郎の談話には、こうあります。

 北原白秋を一言にしていへば、非常に大きな偉大な子供といつてよい。これは初めの頃の詩集で「邪宗門」といふ詩集から、以後幾十といふ詩歌集があるが一貫してゐるものは、大人の計らひの世界ではなく、子供が、生まれて来たまゝの純真さの深い智慧を備へてゐて、少しも歪んでゐなかつた。さういふ点で天性の詩人であつた。決して勉強づくで出来る詩人ではなかつた。近代日本で天性の詩人と自分が思へるのは、「北原白秋」と「萩原朔太郎」の二人であると、かねて思つてゐた。いま、今年になつてから、二人とも亡くなつて了つた。今年は詩人にとつて、ひどく悪い年だと思ふ。
(「童心と叡智の詩人――北原白秋の業績――」 『読売報知新聞』)

白秋は詩人としてもかけ代へのない人であり、立派な芸術家であつたのだが、人間としても立派に完成された人だつた。明治大正昭和の三代を貫いて全く新興詩歌といふものの、一つの世界を創り上げて、一面に偏しないで大きな円を描いたやうな世界を造り出されたのは偉大だと思ふ。
(略)
純真な子供の魂に宇宙をも動かす深い叡智と、哲学の眼をもつた人こそ、ほんたうの詩人ではないのか? 白秋はそれにその言葉の前にはずかしくない人だつたと思ふ。
(「天性の詩人白秋」 『文化情報』


さて、小田原文学館さんでの企画展。全5章での展示構成だそうで、以下のような章立てになっています。「1.誕生――柳川」、「2.上京――東京」、「3.流浪――三崎、小笠原、葛飾」、「4.再起――小田原」、「5. 新生――再び東京」。非常に交流の幅の広かった白秋ですので、光太郎との絡みはどの程度紹介されるのか不明ですが、「2.上京――東京」で明治末前後にスポットが当てられ、関連人物として光太郎の名も挙がっています。

時間を作って観に行こうと思っております。


【折々の歌と句・光太郎】

白秋がくれし雀のたまごなりつまよ二階の出窓にてよめよ

大正10年(1921) 光太郎39歳

「雀のたまご」は本物の卵ではなく、この年に刊行された白秋の歌集『雀の卵』です。「つま」はもちろん智恵子。「二階の出窓」は駒込林町のアトリエ。智恵子はここで鉢植えなどを楽しんでいたという事です。