昨日のこのブログでは、原節子さん主演の東宝映画「智恵子抄」(昭和32年=1957)の上映情報を書きました。

同様に追悼的な内容の雑誌、ムック等がいろいろ刊行されていますが、その中から一つ。 

週刊朝日増刊 昭和の美神 原節子去りぬ

2015/12/20 朝日新聞出版 定価780円

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目次

秋山庄太郎 写真館 永遠の恋人 銀幕スター原節子 千葉伸夫 (映画評論家)「永遠の処女 原節子の輝き」
「新人女優、原節子」 貴田庄 (ノンフィクション作家)
節子の休日 本誌オリジナル秘蔵写真 再録・あなたはどう答えますか?
原節子を観る 映画ベスト20 植草信和
評伝「沈黙のまま表舞台を去った」 朝日新聞・ 石飛徳樹 編集委員
横尾忠則(美術家)寄稿 「原節子 物質世界を超えた魂の美」
四方田犬彦 (映画史・比較文学研究家) 寄稿「不死の人、原節子」
さよなら節子さん 岡田茉莉子 宝田 明 有馬稲子 香川京子 松島トモ子 佐藤忠男 
         大林宣彦 司 葉子
 山田洋次 仲代達矢 川又 昂
原節子を知る book list
「買い出し女優とピカピカの民主主義」 宮本治雄 (編集者)
原節子をたどる 生涯&全出演作リスト
評伝 「会田昌江と原節子」 河谷史夫
彼女は何を語り、どう書かれたか 朝日新聞記事で振り返る原節子


元『キネマ旬報』編集長の植草信和氏による「原節子を観る 映画ベスト20」という項で、東宝映画「智恵子抄」が紹介されています。使われているスチールは、二本松霞ヶ城でのカットです。背後には「ほんとの空」と安達太良山。

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原さんの出演作品の中では、「智恵子抄」は高い評価を得ているとは言い難い作品ですが、原作の知名度的な部分と、3本しかない熊谷久虎作品のうちの一つ、といった観点からランクインしているように思われます。

ちなみに同じ年に制作された小津安二郎監督・松竹配給で「東京暮色」では有馬稲子さんが妹役でした。こちらは比較的高い評価を得ています。


ところで「智恵子抄」。かなり前にVHSテープで販売されました。「日本映画傑作全集」というラインナップでした。

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しかし、DVD、ブルーレイ等でのデジタル化はされていません。この際、「原節子コンプリート」的な企画でボックス化していただきたいものです。ただ、そうなると、「分売不可」というケースもあり、悩みどころですが……。


【折々の歌と句・光太郎】

雪の朝高楼に朱簾まくは誰    明治32年(1899)頃 光太郎17歳頃

「すだれ」を単に「簾」とせず、「朱簾」としているところが肝ですね。白妙の雪と朱色の簾とのコントラストが絶妙です。

同時に、それを巻く「誰」かも、否応なしに原節子さんのような美女を想像させられます。これがいかつい男では絵にも何にもなりません。「朱」一文字でそれをやってのける弱冠数え17歳の文才には脱帽です。