昨日に続き、まずは福島二本松レポートを。

「智恵子講座’15」第2回の終了後、今年も智恵子の人形が展示されているということで、「第61回 二本松の菊人形」を観に、歩いて霞ヶ城公園に向かいました。午前中は降っていた雨もあがり、「ほんとの空」も顔を出し始めていました。
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入場券を買って会場内へ。まずは人形ではなく、愛好家の方々が丹誠込めて育てた菊花の展示です。
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続いて、「菊人形ゾーン」。こちらは毎年テーマを決めて構成されています。昨年のテーマは「二本松築城600年 にほんまつヒストリア」。伊達政宗や安達ヶ原の鬼婆伝説、戊辰戦争にまじって、「あどけない話 詩人高村光太郎と智恵子結婚100周年」というわけで、光太郎智恵子の人形も展示されていました。

今年のテーマは「幕末維新伝」。池田屋事件やら和宮降嫁やら
で場面が構成され、ここには智恵子の人形はありません。

「菊人形ゾーン」の次が「ガーデンゾーン」。菊を使ったガーデニングを作品としてディスプレイするというコンセプトのコーナーです。智恵子人形はこちらにあるようです。

昨年はタイミングが悪く、当方が足を運んだ際には智恵子人形はお召し替え中でした。菊の花も生き物ですから、やがて枯れたりしてきますので、会期中に何度か付け替えなければならないのです。ただ、それほど頻繁に替えるわけでもないようなので、今年は大丈夫だろうと思っていました。

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しかし、あにはからんや、ガーデンゾーンに入る前の作業小屋に、智恵子がいました(笑)。今年もお召し替え中。つくづくタイミングの悪い男です。

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まあ、作業を間近に観ることができたのはよかったのですが……。菊も生き物ですから、しかたがありません。

本来であれば、ここに智恵子がいるはずでした。

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「二本松市合併10周年記念 特作花壇 ほんとの空と秋のにぎわい」というコーナーです。

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ところで、昨年は開幕してすぐの10月中旬に観に行きました。今年は約1ヶ月遅かったのですが、その分、紅葉が進んでいて、その意味ではいいタイミングでした。

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「第61回 二本松の菊人形」、11月23日(月・祝)までの開催です。ぜひ足をお運びください。


もう1件、智恵子がらみで。

平成14年(2002)、智恵子を主人公とした、野田秀樹さん作、大竹しのぶさん主演の一人芝居「売り言葉」が公演されました。その後、シナリオも公刊され、アマチュア劇団等で繰り返し上演されています。

世田谷は上野毛で公演があるとの情報を得ましたので、ご紹介します。 
【作】野田秀樹
【演出】小野晃太朗
【出演】畑中瀬音・平山犬

△ STAFF 装置・音響:小野晃太朗/照明:小泉萌/衣裳:須澤里佳子/演出助手:寺澤亜彩加
△ SCHEDULE 11/21(土)18:00 11/22(日)14:00 ※受付・開場は開演の30分前となります。
△ PLACE 多摩美術大学上野毛キャンパス内 演劇舞踊スタジオD
△ TICKET 無料・全席自由席 https://www.quartet-online.net/ticket/tit4tat 予約はチケットフォームより

野田秀樹の作・演出と、大竹しのぶの怪演によって『智恵子抄』で有名な高村智恵子の人生を下敷きに、高村光太郎を通して男性のエゴ、歴史的美談の欺瞞を暴きだした『売り言葉』を二人芝居として上演します。
女を書いた男を書いた男の本を演出するということについて、考えています。
もしかしたら、売り言葉に対する売り言葉になるかもしれません。

本来、一人芝居ですが、それを二人でやるということで、「売り言葉に対する売り言葉」ということのようです。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 11月17日

昭和25年(1950)の今日、花巻郊外太田村の山小屋で、草野心平からの葉書を受け取りました。

詩集「典型」いただきました。ありがたう御座ゐます。
たいがいは一度拝見していたものですが、改めて通読して異常な感動をおぼえました。どうも考えてみますと僕などは実に甘ちよろいものです。反省と勇気を同時に持つやうな、そんな状態になりましたことを個人として感謝いたします。
書評を頼まれましたので感想を綴つてゐるところですがむずかしいです。
別封歴程お送りいたしました。今度は売れなくても続けてゆける体制をととのへました。二号はもう印刷に回つております。三号から、以前歴程にいただいた某月某日のやうなもの五枚ずつ書いていただけませんでしようか。御礼はとうてい出来ませんが。三号〆切は十一月十日なのですが。             十一月十四日

「典型」は、この年10月、光太郎が刊行した詩集。「歴程」は戦前に心平が主宰していた雑誌で、昭和23年(1948)に復刊しましたが、途切れがちの刊行だったようです。