第68回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)の中学、高校部門が今月24(土)、25日(日)にさいたま市の大宮ソニックシティ大ホールで行われます。
 
合唱楽譜の発行、販売を専門にしているパナムジカさんのサイトに、コンクール情報として、参加校と演奏曲目の一覧がアップされています。
 
それによると、光太郎作詞――というより光太郎の詩に000曲をつけたもの――を自由曲を選んだ学校が、高校の部で2校ありました。

まず、高校Aグループ(8~32人)で、智恵子の後輩にあたる日本女子大学附属高等学校コーラスクラブの皆さんが、鈴木輝昭氏作曲の「女声合唱とピアノのための組曲 智恵子抄」」中の「裸形」を演奏します。この組曲は、福島県立橘高等学校合唱団による委嘱作品です。以前にも書きましたが、橘高校さんは、智恵子の母校・福島高等女学校の後身です。これも以前にも書きましたが、同校合唱団は、平成21年(2009)から3年間、この組曲全3曲の中から1曲ずつを自由曲とし、全日本合唱コンクール全国大会高等学校部門Bグループで上位入賞しています。
 
 第62回大会 平成21年(2009) 自由曲「レモン哀歌」 金賞
 第63回大会 平成22年(2010) 自由曲「裸形」 銀賞
 第64回大会 平成23年(2011) 自由曲「亡き人に」 銀賞001

楽譜やCDも発売され、コンクールの定番曲の一つとなり、昨年の第67回大会では、神奈川の清泉女学院音楽部さんが「亡き人に」で金賞、北海道の北海道帯広三条高校合唱部さんが「レモン哀歌」で銀賞を獲得し、高く評価されています。


今年「裸形」を演奏する日本女子大学附属高等学校コーラスクラブさんは、昨年は与謝野晶子作詩の「絵師よ」で銀賞でした。今年は金賞をゲットしていただきたいものです。智恵子の後輩として、「智恵子抄」中の詩に曲をつけたものの演奏ですので、例年以上に頑張って欲しいと思います。

さらに、高校Bグループ(33人以上)で、東京の007豊島岡女子学園高等学校コーラス部さんが、三好真亜沙さん作曲の「冬の奴」で出場。これは「女声合唱とピアノのための「冬が来た」」中の1曲です。

こちらは昨年、初演された新しい曲です。当方、その初演を聴きに行って参りましたが、硬骨な光太郎詩の特徴を活かした曲でした。作曲者の三好さんいわく「カッコいい女声合唱」。そして「冬の奴」は組曲の終曲ということもあり、終末部分フォルティッシモのロングトーンでガーッと終わる構成になっています。大人数のBグループ向きの曲ですね。ただ、豊島岡さんはBグループの中では少なめの42人だそうで、100人を超す参加校もある中、迫力よりは、冬の清澄な空気の透明感とでもいいましょうか、そういったものが表現されている中間部のハーモニーで勝負して欲しいものです。

こちらも楽譜とCDが発行されており、今後もいろいろな合唱団003さんに取り上げていただきたいと思います。

全日本合唱コンクール、大学職場一般部門は来月21日(土)・22日(日)、長崎市の長崎ブリックホールでの開催だそうです。こちらは曲目等まだ発表されていませんが、やはり光太郎詩を扱った作品が出て来るといいな、と思っております。


【今日は何の日・光太郎 拾遺】 10月20日

昭和14年(1939)の今日、光太郎が装幀、題字揮毫、装画を手がけた長谷川時雨の随筆集『きものが刊行されました。

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長谷川は光太郎の木彫「桃」を購入したりで、これ以前から光太郎と交流がありました。同年2月に刊行された随筆集『桃』では、その写真を扉に使っています。

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昨年のNHKさんの朝ドラ「花子とアン」に登場した藤真利子さん演ずる「長谷部汀」は長谷川がモデルと思われます。