昨日に続き、光雲ネタで。
一昨日、富山の地方紙『北日本新聞』さんに載った記事です。
日蓮像の完成を祈願し鋳造火入れ式 高岡・古城製作所が受注
高岡市野村の古城製作所(大野政治社長)は、石川県七尾市の日蓮宗実相寺に建立される開祖・日蓮の銅像を受注した。13日、高岡市福岡町土屋の工場で、鋳造火入れ式が行われ、建立を計画した千葉県市川市の日蓮宗大本山、法華経寺の新井日湛貫首や大野社長らが無事な完成を祈った。9月に建立、開眼予定で、来年4月に奉納される。
法華経寺は1260(文応元)年創建の日蓮が最初に開いた寺として知られる。実相寺は、145代の新井貫首が生まれ育った寺。今回は、2021年に日蓮の生誕800年を控え、来年は実相寺31代で新井貫首の祖父の50回忌となることから、12年に法華経寺に建立した日蓮像と同型の製作を古城製作所に依頼した。
建立するのは、近代彫刻界の大家、高村光雲による日蓮像の原型を使った高さ約4メートルの銅像。台座を含めると約8メートルにもなる。火入れ式では僧侶2人が木剣を打ち、祈禱する中、職人が溶かした銅を鋳型の湯口に注いだ。
大野社長は「立派な銅像に仕上げ、高岡銅器をアピールしたい」と話した。
法華経寺は1260(文応元)年創建の日蓮が最初に開いた寺として知られる。実相寺は、145代の新井貫首が生まれ育った寺。今回は、2021年に日蓮の生誕800年を控え、来年は実相寺31代で新井貫首の祖父の50回忌となることから、12年に法華経寺に建立した日蓮像と同型の製作を古城製作所に依頼した。
建立するのは、近代彫刻界の大家、高村光雲による日蓮像の原型を使った高さ約4メートルの銅像。台座を含めると約8メートルにもなる。火入れ式では僧侶2人が木剣を打ち、祈禱する中、職人が溶かした銅を鋳型の湯口に注いだ。
大野社長は「立派な銅像に仕上げ、高岡銅器をアピールしたい」と話した。
石川県の実相寺さんという寺院に、光雲が原型を作った日蓮像が建立されるという内容です。
この像は、鎌倉の長勝寺さんにあるものと同型で、他にも各地に建立されています。
静岡県富士市の妙祥寺さんにあることは、以前から存じておりましたが、千葉県市川市の中山法華経寺さんにも奉納されていたと、今回の記事で初めて知りました。そちらは今回と同じ高岡の古城製作所さんの鋳造だそうで、ホームページを見て驚いたのですが、同社の取扱商品のラインナップに今回の像が入っています。他の寺院、あるいは個人でも注文されたのかも知れません。
古城さんでは45㌢のミニチュア版も作っているとのことで、これには少し笑いました。泉下の光雲も苦笑しているのではないでしょうか。
【今日は何の日・光太郎 拾遺】 6月15日
昭和44年(1969)の今日、求龍堂から高村光太郎記念会編、『高村光太郎賞記念作品集 天極をさす』が刊行されました。
「高村光太郎賞」は、昭和32年(1957)、筑摩書房から最初の『高村光太郎全集』の刊行が始まった直後、実弟の豊周から、その印税を光太郎の業績を記念する適当な事業にあてたいという意向が出され、始まったものです。
その規定を抜粋します。
一、故高村光太郎を記念し、造型及び詩の二部門に高村光太郎賞を設定する。
一、授賞対象となる作品は、主として、造型部門に於いては発表作品、詩部門に於いては詩集とする。
一、本賞設定当初の選考委員は、
造型=今泉篤男、木内克、菊池一雄、高田博厚、谷口吉郎、土方定一、本郷新
詩=伊藤信吉、尾崎喜八、亀井勝一郎、金子光晴、草野心平
とする。
賞金は十万円。同一部門で複数の授賞が出た場合には折半、そして、永続的に行うのではなく、10回で終わる、とも定められました。
副賞として、光太郎が短句「いくら廻されても針は天極をさす」と刻んだ木の盆を、豊周がブロンズに鋳造した賞牌が贈られました。
『天極をさす』の書名はここから採りました。
ところで、数年前にこの賞牌がネットオークションに出品され、ある意味、少し残念でした。出所もわかっています。
第一回の授賞式は昭和33年(1958)、最終第10回は同42年(1967)。10年間で造型部門17名、詩部門15名が授賞
しました。内訳は以下の通り。
造型部門は、柳原義達、豊福知徳、佐藤忠良、向井良吉、白井晟一、舟越保武、堀内正和、西大由、吾妻兼治郎、水井康夫、細川宗英、大谷文男、黒川紀章、一色邦彦、篠田守男、建畠覚造、加守田章二。
詩部門が、会田綱雄、草野天平、山之口貘、岡崎清一郎、山本太郎、手塚富雄、田中冬二、高橋元吉、田村隆一、金井直、山崎栄治、中桐雅夫、生野幸吉、中村稔、富士川英郎。
これらの人々の略歴を調べると、多くは「高村光太郎賞授賞」と記されています。また、造型部門の受賞者及び選考委員により、「連翹会展」が6回開かれました。
『天極をさす』は、高村光太郎賞の完了を記念して、上記受賞者及び選考委員、そして高村豊周の作品(造型系は写真)を掲載した大判の書籍です。
その後、箱根彫刻の森美術館さんで、具象彫刻を対象とした「高村光太郎大賞」が始まりましたが、どうも趣旨が違う、ということで、3回で終了しました。