先ほど、昨日から行っておりました岩手花巻より帰って参りました。
今日、午前11時から、花巻高村光太郎記念館のリニューアルオープン記念式典があり、その関係でした。
昭和20年(1945)から、同27年(1952)までの7年間、光太郎が独居自炊の生活を送ったこの地に、最初の記念館が建設されたのは昭和41年(1966)。約半世紀が経って建物の老朽化が進み、2年前には、近くにあった、もともと花巻市の歴史民俗資料館だった建物を高村光太郎記念館として移転、暫定オープンいたしました。その時点では、2棟ある建物のうち、手前の1棟のみの使用でしたが、このたび、2棟めも使用してのグランドオープンとなった次第です。
テープカットは今月2日の第59回連翹忌にもご参加下さった上田東一花巻市長、昨年亡くなった、光太郎の令甥・高村規氏令息の高村達氏、㈶花巻高村光太郎記念会会長・佐藤進氏(宮澤賢治の主治医で、昭和20年=1945には光太郎が一時その邸宅に寄寓していた佐藤隆房令息)、花巻市議会議長・川村伸浩氏、そして生前の光太郎を知る、花巻市太田地区振興会長・佐藤定氏。
以前から使っていた手前の棟も、内容を一新。「展示室1」と名付けられ、彫刻作品の展示と、映像・音声を駆使したハイテク展示コーナーなどが設けられています。
ハイテクコーナーでは、声優の堀内賢雄さんによる朗読と、岩手の四季のイメージ映像が組み合わさり、玄妙なバーチャル空間が創出されています。
さらには壁に埋め込まれたディスプレイでは、光太郎の紹介ビデオも。よくまとまっています。
こちらは光太郎代表作、「手」のレプリカ。本物はガラスケースに入っていますが、こちらはレプリカですので、自由に触れます。
「十和田湖畔の裸婦群像」(通称・乙女の像)のための中型試作。実物およそ2分の1です。当方監修の書籍『十和田湖乙女の像のものがたり』が刊行されたばかりですので、感慨深く拝見しました。
渡り廊下を通って、2棟目が「展示室2」。こちらには光太郎の遺品、書、草稿、著書、彫刻、智恵子の紙絵(本物)、その他100点ほどが並んでいます。それも雑多に並べるのではなく、小テーマごとに展示しています。光太郎と花巻との関わり、岩手ということで、石川啄木や宮澤賢治とのつながり、書、智恵子、山小屋生活、といった具合に。
すぐ上の画像に写っているえんじ色の説明パネル、当方が執筆させていただきました。また、展示品の一部も当方がお貸ししています。2枚上の画像に写っている日本読書組合版の『宮澤賢治全集』です。こちらは賢治の弟・清六と、光太郎の編集。装幀・題字は光太郎。全10冊の予定が6冊刊行されて中断してしまったものですが、既刊6冊が揃っているのはなかなか珍しいものです。
さらに、こちらでも光太郎紹介のビデオが流れています。展示室1とは異なる内容で、一昨年、千葉市美術館他を巡回した「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展に際して作られたものを転用させていただきました。故・高村規氏もご出演なさっています。
さらに、今日の段階ではまだ閉鎖していますが、来月中頃からは「企画展示室」も使用を開始します。今のところの予定では、1年間のスパンで、さらに細かくテーマを決めて、展示の入れ替えをするコーナーです。最初はこの地での光太郎の7年間の生活にスポットを当てる予定です。追ってご紹介します。
ここに来るまでの、関係者の皆様のご労苦には、頭の下がる思いです。㈶花巻高村光太郎記念会スタッフの方は、最後の頃は不眠不休に近かったとか……。
それを狙って、今日のオープンに設定したのですが、ゴールデンウィークです。さらに、こちらも追ってご紹介しますが、来月15日にはこの地で「第58回高村祭」が開催されます。5月の花巻は、一年中でもっともいい季節。ぜひぜひ、足をお運び下さい。
【今日は何の日・光太郎 拾遺】 4月28日
昭和46年(1971)の今日、日比谷芸術座でフラメンコダンサー、アキコ・カンダの第5回リサイタル「能の音によるモダンダンス―智恵子抄 Poems to Chieko」が上演されました。
演出/天野二郎、振付/アキコ・カンダ、音楽/観世寿夫でした。