十和田湖奥入瀬観光ボランティアの会さんが、約2年間にわたって編集されていた書籍『十和田湖乙女の像のものがたり』が完成しました。
一昨年、光太郎制作の「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」が建立から60周年を迎えたのを機に、地元の観光ボランティアの皆さんが、像の創られた背景などを改めて知ろうという取り組みの中から生まれたものです。
昨年逝去された光太郎の令甥にして高村光太郎記念会理事長であられた高村規氏、当会顧問にしてこの世界の第一人者・北川太一先生、さらに昭和28年(1953)、像の設置工事の現場監督をされた元青森県技師・小山義孝氏の聞き書きなど、貴重な証言が収められています。高村氏、北川先生へのインタビューは一昨年。当方も同道しました。
当方、たまたま会の皆さんの知遇を得、制作に協力させていただきました。5分の2ほどは当方の執筆、あとは全体の校閲などもやらせていただき、結局、「監修」ということで奥付に名前を載せていただいております。
B5判388ページ、画像をふんだんに使っているため、全ページコート紙の贅沢な造りです。
目次は以下の通り。
発刊に寄せて 北川太一氏
まえがき 十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会会長 小笠原哲男氏
乙女の像ものがたり
資料編
「乙女の像」概説
北川太一氏インタビュー
高村規氏インタビュー
小山義孝氏インタビュー
記念色紙 写真と解説
石版 写真と解説
講演記録「乙女の像誕生秘話」 十和田市教育長 米田省三氏
寄稿「十和田湖と『乙女の像』を巡る人々」 ATV青森テレビアナウンサー 川口浩一氏
記録 第19回レモン忌
活動記録 乙女の像・ろまんヒストリー発信事業について
あとがき
「乙女の像ものがたり」は、小学生向けに書きました。光太郎の伝記を兼ね、史実を元にしたフィクションです。細かく云うと、この時この人はここにはいなかったはずだとか、いろいろあるのですが、あくまで「ものがたり」ということで勘弁して下さい。
「資料編」は一般向けの内容です。「「乙女の像」概説」という部分を当方が書き下ろしました。また、昨秋、十和田湖畔に開館した観光交流施設「ぷらっと」館内展示説明パネルのために書いたものも転載されています。
その他の記事も、これでもかとてんこ盛りで、非常に充実した内容となっています。
先週にはボランティアの会の皆さんが、十和田市長を表敬訪問、完成の報告をされ、その様子が地元で報道されました。
こちらは『東欧日報』さんの記事。
さらにローカルテレビ局でも地域のニュースとして紹介されました。
市長さんはことのほか完成を喜んでいらしたそうです。
発行部数はそれなりに多いのですが、地元の学校さんなどに寄贈の分が多く、販売にまわされるのは少ないそうです。好評となり、増刷されることを期待します。
ボランティアの会さんの連絡先は以下の通り。直接お問い合わせ下さい。
十和田湖・奥入瀬観光ボランティアの会
〒034-0303 青森県十和田市法量字前川原86-15 tel/fax 0176-72-2642
チラシ画像も載せておきます。
【今日は何の日・光太郎 拾遺】 3月31日
平成23年(2011)の今日、岩手県奥州市の黒壁ガラス館で開催されていた「奥州市郷土先人顕彰事業 企画展 文学の先達と奥州市」が閉幕しました。
過日もちらっとご紹介した同市の人首(ひとかべ)文庫さん所蔵の資料などから、奥州市にかかわるものが展示されました。
奥州市出身の詩人・佐伯郁郎の関係で、佐伯宛の光太郎書簡、色紙等も並びました。他には井上靖、谷崎潤一郎、山本有三、巽聖歌、萩原朔太郎、井伏鱒二、室生犀星、堀口大学、林芙美子、川端康成、小川未明、西条八十、北原白秋、野口雨情らの自筆資料、宮澤賢治、宮靜枝、川端の初恋の相手・伊藤初代らに関する資料など、これまたてんこ盛りでした。