昨日は、千葉市中央区、千葉港近くの千葉県立美術館に行って参りました。
一昨年、「生誕130年 彫刻家高村光太郎」展が開催されたのは、市立美術館。こちらは県立美術館です。
同館は耐震改修工事のため、一昨年1月から休館していましたが、工事も終わり、一昨日がさらに開館40周年記念も兼ねての再オープンでした。
再オープンを祝って、千葉県のゆるキャラ・チーバくんも来館(笑)。真横から見ると千葉県の形をしているというすぐれものです。よく間違われるのですが、決してメタボ犬ではありません。第一、「犬」でもありません。「不思議ないきもの」です。
ちなみに当方自宅兼事務所はチーバくんの耳の付け根あたりです。
さて、千葉県立美術館。再オープン記念のメインの企画展は、「開館40周年記念特別企画展 平山郁夫展 -仏教伝来の軌跡、そして平和の祈り-」(1月24日~3月22日)です。平山氏は生前、千葉県にご在住でした。
もともとそちらが第一の目的ではなく、同時開催の同館所蔵品による「アート・コレクション」(1月24日~3月29日)を見に行くつもりで出かけました。
事前に詳細が不明でしたので、このブログでご紹介しませんでしたが、光太郎彫刻も展示されるはず、と思って行きました。なぜそう思ったかというと、新しい鋳造ですが、同館では光太郎彫刻を7点ほど持っていることを知っていたためです。
「アートコレクション」は「千葉県立美術館名品展」と「彫刻」に分かれており、光太郎作品が並ぶなら「彫刻」だろうと思っていましたが、あにはからんや、「千葉県立美術館名品展」の方に出品されていました。光太郎代表作の一つ、「手」です。有名な作品だけあって、人だかりがしていました。
他には光太郎作品は出ておらず、ちょっと残念でしたが、「名品展」と謳うだけあって、日本画、洋画、彫刻、工芸、書、版画の五分野で、たしかにいいものがたくさん出ていました。
工芸のコーナーでは、光太郎の実弟にして鋳金の人間国宝・高村豊周の作品も展示されていました。また、石井柏亭、梅原龍三郎、岸田劉生、中西利雄、柳敬助、佐藤忠良、舟越保武など、光太郎と交流のあった作家の作品も数多く並んでいたので、興味深く拝見しました。
さらに同時開催で、パネル展「千葉県立美術館40年の歩み」(1月24日~4月4日)もありました。40年間に開催された企画展のポスターや図録などが展示され、昭和56年(1981)に開催された企画展「高村光太郎、その芸術」の、「手」を使ったポスターも貼られていました。他にも移動美術館のポスター類も展示されていて、やはり「手」をあしらったものもあり、嬉しくなりました。
最後に「平山郁夫展」を見ました。「仏教伝来の軌跡」ということで、有名なシルクロード系の連作が中心でした。柔らかなタッチと、奇をてらうことのない画風には、やはり好感が持てました。
青森十和田の奥入瀬渓流を描いた「流水間断無」も展示されていました。なぜ? と思いましたが、大陸の乾いた沙漠を長く旅した後は、日本の水と緑の風景が恋しくなったそうで、ある意味、対になる作品ということになるわけです。そういえば、昨年、テレビ東京系「美の巨人たち」で紹介された時も、そういう話になっていました。
さて、千葉県立美術館。ぜひ足をお運びください。
【今日は何の日・光太郎 拾遺】 1月26日
大正14年(1925)の今日、『読売新聞』に、散文「自刻木版の魅力」が掲載されました。
光太郎が唯一、版画をメインに語った散文です。自身、葉書や自著等の題字(『典型』など)、さらには関東大震災直後に智恵子の実家・長沼酒造の銘酒「花霞」を東京に取り寄せて販売した時の引札などで、木版を手がけました。
この文章は、同じ年の雑誌『詩と版画』、昭和6年(1931)の同じく『線』に転載されました。