昨日の『毎日新聞』さんの、おそらく福島版だと思うのですが、以下の記事が載りました。 

<師走の風景>「ほんとの空」求め宿泊予約殺到――安達太良山

「元旦に福島の空を見よう」――。詩人、高村光太郎の妻智恵子が「ほんとの空」があると言った安達太良山(標高1718メートル)の中腹にある山小屋「くろがね小屋」には、今年の大みそかも宿泊予約が殺到し、小屋番たちは準備に大わらわ。まさしく師走だ。
 
 宿泊客の目当ては、31日恒例の年越しそばと、餅つき。みんなでお餅を食べた後は、初日の出を見るために「天気と元気次第」で頂上を目指す。
 
 「今年こそは大みそかに泊まろうと思ったけど、両親のいる故郷に帰ることになって」。26日に埼玉県から妻と訪れた50代男性はそう語り、「今年最後の泊まり納めを楽しもうとやってきました」。
 
 厳冬の雪山だから、冬登山の装備と心得がなければ小屋にすら、たどりつけない。小屋に着いても、強風とガスで山頂は視界の悪い日が多く、冬季に「ほんとの空」を拝める日は少ないという。
 
 それでも、関東方面からの登山客は多く、「風評被害」は感じられない。客層は中高年が中心だが、最近は20代の若者も増えた。
 
 26日、記者も一足早く山頂に登ったが、強風と地吹雪で登山客の姿はなかった。元日こそは好天を!【栗田慎一】
 
なるほど、安達太良山頂から、「ほんとの空」に昇る初日の出を見るというのも素晴らしいでしょうね。
 
 
他にも初日の出名所として、光太郎智恵子がらみの地がいくつか有名です。
 
当方生活圏では、千葉県の犬吠埼。大正元年(1912)夏、結婚前の二人が愛を確かめた場所です。
 
緯度、経度等の関係で、離島や高山の山頂を除き、日本一早い初日の出が見られます。明後日は午前6寺46分です。
 
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それを目当てに訪れる方が多く、JR東日本さん、銚子電鉄さんでは終夜運転、様々なイベントが予定されています。
 
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少し南下すると、九十九里浜。その中央の片貝海岸付近には、昭和9年(1934)、統合失調症だった智恵子が療養していました。
 
こちらでも元旦祭が行われます。
 
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さらに、山梨県南巨摩郡富士川町高下地区。こちらは昭和17年(1942)、「日本の母」顕彰のため、光太郎が訪れ、それを記念して光太郎文学碑も建てられています。
 
ここでは、富士山頂から昇る初日の出、いわゆる「ダイヤモンド富士」が見られるそうです。
 
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こうしたポイントは、かなりの人出(特に犬吠埼では交通規制もしかれます)ですが、特別な場所で見る初日の出もいいものでしょう。当方、余力があれば九十九里に行ってみようと思っています。今年の元旦もそう思っていましたが、結局起きられませんでした(笑)。
 
さて、元日の夜は、再放送ですが、以下のテレビ放映があります。 

いにしへ日和 #122 岩手県・花巻市・高村光太郎と大沢温泉

BS朝日 2015年1月1日(木) 22時54分~23時00分
 
日本の東国各地をめぐり、歴史上の人々が残した足跡をたどります。美しい景色の中に息づく「時の記憶」。旅をしながら、現在と過去を自由に行き来する。そんな気分を味わう番組です。時をこえ、小さな旅に出かけよう。今日は、いにしへ日和…日本の各地をめぐり、歴史上の人々が残した足跡をたどります。
 
高村光太郎は、1945年花巻に疎開し、7年の間、この地で過ごしました。 光太郎62歳。最愛の妻・智恵子も既に他界し、東京大空襲で自宅とアトリエを失ってやってきた花巻。 そんな光太郎が「本当の温泉の味がする」と、何度も訪れた大沢温泉を訪ねます。
 
出演 ナレーター キムラ緑子
 
 
本放送は先週木曜日でした。
 
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5分間番組ですが、ぜひご覧下さい。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月30日
 
昭和43年(1973)の今日、角川書店から伊藤信吉著『鑑賞智恵子抄』が刊行されました。

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 伊藤信吉は光太郎と交流のあった詩人です。400ページ近い大著で、的確な視点で『智恵子抄』およびその後の諸作品が解説されています。
 
当方、有名な古書店、扶桑書房さんが鎌倉に店を構えていた頃、ここで購入しました。帰宅してから気づいたのですが、見返しに著者の伊藤信吉から、やはり詩人の鳥見迅彦に宛てた献呈署名が入っていました。鳥見も光太郎と交流があり、自身の詩集『けものみち』(昭和30年=1950)の題字を、光太郎に揮毫してもらっています。
 
不思議な縁を感じました。
 
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