昨日は、練馬区江古田にて、微笑企画第4弾「一人芝居 人に~智恵子抄より~」を観て参りました。
素晴らしい舞台でした。
場所は江古田駅近くの兎亭さんという、カフェ+レンタルイベントスペース。地階に会場がありました。
縦長のさして広くないスペースで、舞台とギャラリーの仕切り、段差等が一切無く、それだけに一体感が感じられました。
まず驚いたのは、ダンスパフォーマンス的な要素がふんだんに採り入れられていたこと。それもかなり激しい動きで、昂ぶる光太郎への愛情や、結婚生活の中での煩悶といった部分が表現されていました。光太郎智恵子をあつかうものとしては、ある意味「静かな」舞台を見慣れていましたので、新鮮でした。
脚本的にも、いろいろと感心しました。智恵子の内面がよく剔りだされており、単なる「お涙ちょうだい」の純愛ものでなく、さりとて「智恵子を犠牲に自己の芸術を作りあげた非道な光太郎」という観点でもありませんでした。
『青鞜』のメンバーの一部が、結局はただの女子会的になってしまっているとか、光太郎智恵子の結婚生活において、徐々に智恵子の家事分担が増えていったことを、智恵子自身が「光太郎のために」と自分に言い聞かせ、しかし、その裏には、自分の才能不足からの逃避があった、などという点には、「なるほど」と思わされました。
演出的にも、スペースの狭さ、舞台とギャラリーの仕切り、段差等が一切無いことを逆手に取り、観客の眼の前まで歩み寄って語りかけたり、凝った和風のBGMが効果的に使われていたりという点が良かったと思います。
何より井餘田さんの、一種、きりっとした感じに非常に好感が持てました。画像は終演後、あいさつをされる井餘田さんです。
残念なのは、あまり宣伝もされていなかったようで、もともと狭いスペースということもあり、観客は20名程だったこと(最初から限定20名と告知されていました)と、一回限りの公演であること。もっと多くの方に観ていただきたいという意味で残念です。
昨日のこのブログでは音楽での光太郎作品インスパイアを取り上げましたが、演劇系でも、もっともっと光太郎智恵子の世界をいろいろな方に、井餘田さんのように、それぞれの解釈で取り上げていただきたいものです。演劇関係の皆さん、よろしくお願い申し上げます。「『智恵子抄』? 「お涙ちょうだい」の古くさい話じゃん」という考えは、違います!!
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月25日
昭和4年(1929)の今日、東京会館で行われた、与謝野晶子50歳の祝いの発起人を務めました。
当時の『朝日新聞』です。見出しは25日になっていますが、記事本文では22日となっています。見出しを優先しました。