新刊です。
2014/11/01 株式会社花美術館発行 定価1200円+税
祈り―東日本大震災
啄木、賢治の共通性 望月善次
長男としての誕生―戸籍と誕生日の揺れ
誕生時の恵まれた環境
宗教の家
盛岡中学校入学と挫折
先進的教育教授と中途退職
夭死
国民的人気と国際的展開
献身的支援者~肉親の証言から
明治の青春 金田一秀穂
生涯にわたる兄への敬愛と献身-宮澤清六 宮澤明裕
啄木、賢治の異質性 望月善次
文学的ジャンルの相違―「童話」VS「評論・日記」
宗教への態度―遠ざかる(拡散)VS格闘(集中)
結婚の有無―積極的VS消極的
美術的側面―デザインVS絵画
全集発行時期―死後8年VS死後1年
学問と知識―文系人間VS理系人間
運の在り方―文学的幸運VS経済的幸運
『一握の砂』と『注文の多い料理店』その装丁 原田光
郷愁のモニュメント 藤田観龍
美術館紹介 石川啄木記念館/岩手県立美術館/宮澤賢治イーハトーブ館/宮澤賢治記念館
というわけで、岩手の生んだ二人の天才、石川啄木と宮澤賢治について、故郷岩手を軸にした53ページの特集です。特に賢治に関し、その世界を世に広める功績のあった光太郎の名が随所に現れます。
後半は「現代の短詩型文学-故郷と幻想の間」「現代作家-原風景への憧憬」「現代工芸-美の精粋」ということで、各分野の現代作家の皆さんの作品がたくさん。
その中で白井敬子さんという歌人の方の作品です。
光太郎・北斎・虚子・百閒忌花の四月に皆連れ立ちて
4月2日、光太郎忌日連翹忌を題材になさって下さいました。ちなみに葛飾北斎の北斎忌は18日、高浜虚子の虚子忌(椿寿忌)は8日、内田百閒の百閒忌は20日。短歌ではなく、俳句としては季語にもなり、歳時記に載っているようです。
さて、『花美術館』、ぜひお買い求めを。
【今日は何の日・光太郎 補遺】 12月7日
平成20年(2008)の今日、愛知県一宮市尾西歴史民俗資料館で開催されていた、「特別展 花子とロダン―知られざる日本人女優と彫刻の巨匠との出会い―」が閉幕しました。
花子といっても、今年度上半期のNHKさんの朝ドラ「花子とアン」の村岡花子ではなく、明治期の日本人女優、花子です。
明治元年(1868)、岐阜県の生まれ。本名・太田ひさ。旅芸人一座の子役、芸妓、二度の結婚失敗を経て、明治34年(1901)、流れ着いた横浜で見たコペンハーゲン博覧会での日本人踊り子募集の広告を見て、渡欧。以後、寄せ集めの一座を組み、欧州各地を公演。非常な人気を博しました。明治39年(1906)、その舞台を見たロダンの強い要望で、彫刻作品のモデルを務めました。
大正10年(1921)には帰国、その際、自身をモデルにしたロダン彫刻2点を持って帰りました。それらは一時、東京美術学校に寄託され、光太郎の目にとまりました。昭和2年(1927)にアルスから評伝『ロダン』を出版する取材の一環として、光太郎は花子を岐阜の実家に訪ねています。
同展ではその後送られた光太郎からの書簡も展示されました。