東京永田町の国立国会図書館さんで、明日から下記の企画展示が始まります。 
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国立国会図書館所蔵の貴重書等から、有名人の書簡や原稿を展示します。
国立国会図書館では、国内外の出版物以外にも、様々な資料を所蔵しています。このたび、古典籍資料、憲政資料等から、有名人約150人の直筆を集めた展示会を開催します。
お札になったあの人、教科書に載っているあの人は一体どんな字を書いたのでしょうか。書簡や原稿などからは、あの人の息遣いが聞こえてくるかもしれません。絵画や、今春から提供を開始した脚本の原稿も展示します。国立国会図書館ならではの展示をお楽しみください。
 
   平成26年10月18日(土)~11月18日(火) (日・祝は休館)
   午前10時~午後7時(土曜日は午後6時終了)
   国立国会図書館東京本館 新館1階 展示室(千代田区永田町1-10-1)
 金  無料

※途中で展示替え、展示箇所の変更を行います。
 
フロアレクチャー 10月28日(火)、11月11日(火)近代の政治家を中心に
 講師:季武嘉也(創価大学文学部教授 国立国会図書館客員調査員)
ギャラリートーク 10月25日(土)、11月8日(土)当館担当職員が見所をお話しします。
※いずれも14:00から40分程度。申込不要。展示会場受付にお集まりください。
 
主な展示物
 亡友帖(坂本龍馬、中岡慎太郎、高杉晋作、木戸孝允など)
 夏目漱石 葉書(正岡子規宛)
 勝海舟 自画像
 
展示構成とその他の主な「あの人」
 【特別展示】細川ガラシャ
 【第一部:近世】
  為政者とその周辺 二宮尊徳、徳川慶喜
  著作をめぐって 本居宣長、山東京伝
  科学の眼 杉田玄白、シーボルト、高野長英
 【第二部:近現代】
  幕末・維新の人々 吉田松陰、板垣退助、大久保利通、木戸孝允、榎本武揚、大鳥圭介
  歴代首相 伊藤博文、西園寺公望、原敬、吉田茂、鳩山一郎 
  議会政治家 尾崎行雄、浅沼稲次郎、市川房枝
  日露戦争の軍人 秋山真之
  明治の経済人 岩崎弥太郎、渋沢栄一
  教育家 津田梅子、嘉納治五郎
  学者 牧野富太郎、和辻哲郎
  文芸家 泉鏡花、正岡子規、柳原白蓮、谷崎潤一郎、大仏次郎、司馬遼太郎
  芸術家 岡倉天心、横山大観、北大路魯山人
 【形態別】
  絵画 川瀬巴水、浅井忠、藤田嗣治、狩野芳崖
  署名 新村出、江戸川乱歩、堀口大学、三島由紀夫、葦原邦子
  日記 斎藤実、芦田均
  家族への手紙 陸奥宗光、白洲正子、大山巌 
  脚本 菊田一夫、岩間芳樹、田中千禾夫、津田幸於、藤村志保、三田佳子
  その他 副島種臣
 
問い合わせ先 国立国会図書館利用者サービス部サービス企画課展示企画係
03-3506-5260(直通) tenji-kikaku@ndl.go.jp
 
上記は同館のプレスリリース等から引用させていただきましたが、「おもな「あの人」」の中に光太郎の名がありません。ありませんが、署名本(?)が展示されます。出品一覧には名前があります。
 
ちなみに一覧にはありながら、与謝野晶子や島崎藤村でさえ、「おもな「あの人」」に入っていません。
 
「署名」の項に名前が入っているというだけなので、詳細が分かりませんが、おそらく自著に署名したものなのではないかと思われます。後ほど暇を見て見に行ってきて、レポートします。
 
ところで、署名本。
 
当方、光太郎の「署名本」は一冊だけ持っています。特に収集の対象にしているわけではありません(第一、値段が張るので無理です)が、一冊くらいは持っていたいなと思い、十数年前に購入しました。
 
昭和17年(1942)山雅房発行の詩集『道程』改訂普及版の重版です。見返しに詩人の小池吉昌に宛てた署名が書き込んであります。
 
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詩集『道程』改訂版には、三種の版があります。昭和15年(1940)11月20日刊行で002定価4円80銭の「150部限定版」、同日刊行で定価2円80銭の「書店版」、翌年に刊行され定価1円80銭の「普及版」です。
 
上記署名本は「普及版」の、さらに重版(第8版)。付いているはずのカバーがありませんし、保存状態もよくなく、さらに蔵書印やら書き込みやらもかなりあり、普通なら売り物になりません。しかし、18,000円。ほとんど上記の署名に対して付けられた価格ですね。
 
ちなみに「150部限定版」の見返しにも、光太郎署名が入っています(右の画像)。しかしこれは印刷ですので、「署名本」とは言えません。これを持ち出して、「うちにも光太郎の署名本がある」とぬか喜びしないように気をつけて下さい。
 
その手の勘違いならまだしも、悪徳業者(ネットオークションの場合などは個人も)が「署名本」と偽って高値を付けることがないとは言い切れません(そういう例を見たことはないのですが)。お気を付け下さい。
 
「150部限定版」、相場としては10,000円位だと思います。それが「署名本」となると一桁跳ね上がりますが、本当の署名なのか、右の画像の印刷の署名なのか、よく確かめて下さい。
 
それ以外にも、ネットオークションでは、意外に署名本の偽物がよく出てきます。それなりに筆跡は似せているのですが、やはり力がありません。
 
一度、大笑いしたことがあります。詩人の宮崎丈二宛のつもりで作った偽物「署名本」が出品されていました。ところが「二」のはずが「二」になっていたのです。アホですね(笑)。
 
ちなみに当方、光太郎以外の「署名本」もかなり手元にあります。といってもやはり収集の対象にしているわけではなく、光太郎智恵子の資料として集めたものの中に、それぞれの著者の署名が入っていた、というものです。メジャーなところでは、瀬戸内寂聴さん、故・伊藤信吉氏、無着成恭氏などなど。ただ、光太郎のものなら見てわかりますが、そのあたりになると、当方には真贋の鑑定は出来ません。そこで、「これは違うぞ」と言われるのが怖いので、そのあたりの画像は載せません(笑)。
 
話がそれましたが、国会図書館の「あの人の直筆」、ぜひ足をお運び下さい。まさか偽物ではないでしょうから。
 
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 10月17日
 
昭和41年(1966)の今日、花巻市太田の光太郎が七年間暮らした山小屋近くに、「高村記念館」が落成し、開館式が行われました。
 
なぜこの日かというと、昨年のこのブログの【今日は何の日・光太郎】でご紹介しましたが、光太郎が山小屋生活を始めた日だからです。
 
開館式には東京から故・高田博厚、故・草野心平、故・髙村規氏、当会顧問の北川太一先生などが駆けつけ、高田・草野の講演がありました。
 
記念館の看板は心平の揮毫です。
 
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記念館は、昨年、近くの花巻市歴史民俗資料館だった建物に移転、リニューアル仮オープンしました。来春にはさらに拡充されてグランドオープンの予定です。旧記念館は現在、倉庫になっています。