昨日の『朝日新聞』さんに、第37回全日本おかあさんコーラス全国大会の模様を紹介する大きな記事が出ました。
こちらは全日本合唱連盟さんの主催で、8月23日(土)24日(日)の2日間、新潟市のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で行われました。
調べてみたところ、東京代表の団体が、光太郎がらみの曲を演奏してくださったとのこと。
以下、朝日さんの東京版、先月末の記事から。
東京)2団体がひまわり賞 おかあさんコーラス
新潟市中央区の新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあで開かれていた第37回全日本おかあさんコーラス全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催、キユーピー協賛)に24日、都内から4団体が東京支部代表として出場。「女声合唱団ジュディ」「舫(もやい)の会女声合唱団」が優秀賞にあたる「ひまわり賞」を受賞し、「グローリア女声合唱団」「アンサンブル ウィスタリア」が「おかあさんコーラス賞」を受けた。
「ジュディ」と「舫の会」はいずれも指揮者の岸信介さんが指導。信長貴富作曲「世界中の女たちよ」の中からそれぞれに選曲し、反戦のメッセージを発信した。
「ジュディ」の37人は、息子の死体を捜す母は私でありあなただと歌う曲「たくさんの私」に、戦争の残酷さを浮き彫りにした。福嶋浩美代表(55)は「女性でなければわからない悲しみや、平和を祈る気持ちを、全世界に発信したいと思って歌いました」。
「舫の会」の75人は、白い総レースのドレスをまとい、「温かいシチュー」を披露した。鍋をかき回し、温かいシチューをつくって、男たちを戦いに行かせないようにしよう――そう世界中の女性たちに呼びかける歌詩を、力強いハーモニーでダイナミックに歌った。茂木やゑ代表(72)は「今、どうしても伝えておきたい、という思いがあって。たくさんのおかあさんたちに、この歌を歌い継いでほしいと願いながら、歌いました」と話していた。
「グローリア女声合唱団」は2回目の全国大会。18人とは思えない豊かな声量で、美しいハーモニーを響かせた。佐藤賢太郎作詩作曲の「女声合唱とピアノのための合唱組曲『文学へ』」から「ぼうず」「君が見た空」の2曲を披露。百人一首を使ったかるた遊び「坊主めくり」がテーマのコミカルな「ぼうず」も、高村光太郎の「智恵子抄」がテーマで旋律が美しい「君が見た空」も、きれいに合わせるのが難しかったという。田中美知子代表(71)は「全国大会では初めて発信する曲なので、歌ってみたいと思ってもらえるよう頑張りました」と話した。
藤澤幸義子さん指揮の「ウィスタリア」は初出場。団員13人は木下牧子作曲の「にじ色の魚」「鷗(かもめ)」を、戦争で死んだ若者たちを思う女性の視点に立ってしっとりと歌った。「声高に叫ぶのでなく、静かに平和を願う母なる思いを表現しました」と藤田久美子代表(55)。
2014.08.25
2014.08.25
佐藤賢太郎氏作詞作曲の「女声合唱とピアノのための合唱組曲『文学へ』」、一昨年に発表されたものだそうですが、楽譜が市販されておらず、今回の報道があるまで存じませんでした。ただ市販されていませんが、PDFで見ることができます。ただし「No copy」の文字が出るのでそのままプリントアウトすることは不可能です。正式な楽譜は佐藤氏に申し込んで取り寄せるという形なのでしょう。またmp3で演奏を聴くこともできます。
歌詞は光太郎の「あどけない話」をベースに佐藤氏が作詞したものです。「高村光太郎作詞」というわけではないので、今まで見落としていました。
ゆったりとしたテンポで、記事にもある通り、メロディーラインの綺麗な曲です。安達太良山の上に広がる雄大な「ほんとの空」が目に浮かぶような曲です。
組曲としての他の曲は『枕草子』へのトリビュート「朝の藤棚」、『小倉百人一首』に題をとった「ぼうず」、松尾芭蕉へのオマージュ「旅に」となっています。
全国の女声合唱団の皆様、レパートリーに加えられてはいかがでしょうか。
【今日は何の日・光太郎 補遺】 9月4日
昭和8年(1933)の今日、智恵子ともども栃木県塩原温泉を訪れました。
昭和8年というと、智恵子の統合失調症がかなり進んでいた時期です。光太郎は智恵子の故郷近辺の温泉巡りでもすれば少しは病状が好転するかと考え、智恵子を連れて旅に出ました。昨年焼失した不動湯温泉、裏磐梯などを廻り、その最後に訪れたのが塩原です。しかし、9月中旬に東京に戻ったときには、智恵子の症状はさらに悪化していたそうです。
下記は塩原で撮られた一枚。現在伝わっている、智恵子最後の写真です。