新刊です。
2014/8/1 新潮社(新潮文庫) 嵐山光三郎編 定価693円
 
『文人』シリーズの著者が、食に拘る作家18人の小説と随筆34編を厳選したアンソロジー。

これは旨い! 森鷗外、幸田露伴、正岡子規、泉鏡花、永井荷風、斎藤茂吉、種田山頭火、高村光太郎、萩原朔太郎、内田百閒、芥川龍之介、宮沢賢治、川端康成、稲垣足穂、林芙美子、堀辰雄、坂口安吾、檀一雄。食にまつわる短編と随筆。『文人』シリーズの嵐山光三郎が34編を厳選。
 
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昨年、同じく新潮文庫・嵐山氏の『文士の料理店』をご紹介しました。そちらと、それから旧著の『文人悪食』(ともに光太郎が扱われています)などは、嵐山氏の文章によるものでしたが、こちらは鷗外、子規らの「食」に関する作品を集めたアンソロジーです。
 
光太郎の作品は、詩「米久の晩餐」、同じく「梅酒」、随筆「こごみの味」が採られています。
 
少し安易かな、という気がしなくもありませんが、やはり原典を読むというのは大事なこと。ぜひお買い求め下さい。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 8月13日
 
昭和27年(1952)の今日、花巻郊外太田村の山小屋で、実弟の藤岡孟彦に葉書を書きました。
 
孟彦は高村家四男として産まれましたが、藤岡家の養子になりました。植物学を専攻し、現在も続く茨城県の鯉淵学園で教鞭を執っていました。ご子息・光彦氏は健在で、毎年、連翹忌にご参加下さっています。
 
文面は以下の通り。
 
 此間は折角来られたのに大したお構ひも出来ず失礼しました、それでも此処の様子を見てもらつて本望でした、
 まだ今後何処へゆくか分りませんが当分はここにゐるつもり、後には北海道屈斜路湖の方へ移住するかも知れません。
 東京へは十月にゆき、半年ほど滞在の筈です。
 
「東京」云々は、十和田湖畔の裸婦群像制作を指します。像の完成後はまた岩手に帰るつもりでいたことがうかがえます。それどころか、さらに北海道への移住も考えていたようです。
 
しかし、健康状態がそれを許さず、裸婦像除幕後、短期間、岩手に帰ったものの、東京で療養せざるを得ない病状で、結局、東京で亡くなることになります。