『朝日新聞』のデジタル版に、以下の記事が出ました。御堂筋彫刻ストリートに関してです。よくわからないのですが、関西地区では紙面にも載ったのでしょうか。

(勝手に関西遺産)ほんまもん 29体どうぞぅ

彫刻ストリート
 オーギュスト・ロダンといえば、世界で最も有名な彫刻家ではないか。日本一は高村光太郎か。印象派の画家ルノワールが、病気で手が不自由になった後、彫刻に力を入れたなんて話、知ってました? そんな貴重な作者らの彫刻作品がそろって、御堂筋沿いにあるのです。
 どうせコピーでしょって? それが本物なのです。
 1991年、大阪市が音頭をとって寄付を募り、沿道の企業などがこぞって設置した。他にもヘンリー・ムーア、舟越保武(やすたけ)などなど。最近、個人から寄付されたものもあり、現在は29体が並ぶ。
 グレードを統一するため、専門家による設置検討委員会が、一流の候補作家リストを作った。テーマは「人間讃歌(さんか)」、モチーフは人体、素材はブロンズに絞った。
 委員長を務めた木村重信・大阪大名誉教授(88)は語る。「御堂筋は日本のシャンゼリゼ。人体という以上、等身大でなくては。小さかったら見栄えがしないですよ」。彫刻ストリートは、大阪の誇りなのだ。
 ただし。作品には、女性のヌードが多い。約半数がまったくの裸。シャツを脱ごうとしているようなポーズも。誰もの目に入る屋外に生(なま)っぽい裸があるので、正直言って、ちょっと引いてしまった。実際、これまでにそんな批判もあったようだ。
 市の都市計画局に尋ねると「人間讃歌がテーマなので人体が中心になり、優れた作品を選ぶと裸体が多くなる」との回答。「公共空間にあることには様々な意見があるかもしれないが、ご理解いただきたい」
 御堂筋の彫刻をめぐっては、3年前の夏、有名なある「事件」があった。一夜にして19体が赤い服を着せられていたのだ。犯人はいまだ不明。もちろん意図もわからないが、痛快な気持ちになる。
 余談だが、服といえば、着衣までブロンズでできた超リアルな彫刻が、御堂筋から西に300メートルほど離れた靱(うつぼ)公園にある。米国の彫刻家の作品で、布の質感まで再現し、着色までされているのは驚きだ。
 裸か着衣か。初めはそればかり気にして見ていたが、実は結局、一番気に入ったのは素っ裸の作品だった。ふくよかでおおらかな、ボテロの「踊り子」。頭でっかちで見ると、損をする。当たり前のことに気づかせてくれた彫刻群を、「関西遺産」に推したい。(安部美香子)
 
■大阪市のガイドツアー講師 伊藤義麿さん(76)
 20年ほど前、仕事で御堂筋の日本生命を訪れ、ブールデルの彫刻を見ました。ロダンの弟子だが日本では知名度が低い。コピーかと思ったら本物。極めて高い見識で選ばれたものだ、と驚きました。私の父は1920年代、パリに学んだ美術評論家の柳亮(やなぎりょう)です。父の親友で、ブールデルの弟子にあたる清水多嘉示(たかし)の作品もある。貴重さが意外に知られていないので、もっと大事にしてほしいですね。
 
イメージ 1
 
先月行われたまちあるき「御堂筋は名彫刻の宝庫だ(東側コース)~グレコも高村光太郎も~」を受けての記事らしく、その際にガイドを務められた伊藤義麿氏の談話も載っています。
 



 
新聞といえば、『伊豆新聞』なる地方紙に以下の記事が出ました。明日のイベントなのですが、掲載されたのが昨日で、もう間がありませんが、とりあえずご紹介します。

講演と朗読会15日に開催 熱海・起雲閣で、ピアノ、合唱も

 NPO法人地球環境フォーラムと文学と朗読の会・天海地が共催する「講演と朗読会」(エフエム熱海湯河原協賛)が15日午後1〜午後5時、熱海市昭和町の起雲閣で開かれる。入場無料。
 第1部(講演の部)は、独立行政法人・海洋研究開発機構の岩瀬良一さんが「地震について」を演題に講演する。
 第2部(朗読の部)は天海地の会員が「高村光太郎・智恵子・2人の愛のかたみ」 「源氏物語・桐壺・序編」などを朗読する。
 特別出演として朗読家飯島晶子さんが「恋する伊勢物語・初冠・筒井筒・東下りの段」を読み上げる。
 ピアノ演奏や合唱なども予定している。終了後は近隣の店で、懇親夕食会(有料)も開催予定。
 問い合わせは天海地の空麦秋代表〈携帯070(5543)6295〉へ。
 
 いろいろと光太郎智恵子を取り上げて下さり、ありがとうございます。
 
【今日は何の日・光太郎 補遺】 6月14日
 
昭和21年(1946)の今日、詩「雲」を執筆しました。
 
    雲
 
あの雲を見たまへ。
地面からたつ水蒸気の冷えてできた
小さな、小さな水玉の集団があの雲だ。
大空のあそこからあそこまで、006

なんといふ大きなかたまりだらう。
なんというりつぱさだらう。
見てゐるうちに形をかへて
ぐんぐんと進んでゆく。
太陽に色どられた空中のパレット。
光とかげとの運動会。
雲には雲の規律があり、
山にかかる形や位置まで
ちゃんと天気の予報をする。
小さな、小さな水玉が
あんな大きな力を出す。
あの雲を見たまへ。
雲はいいなあ。
おもしろいなあ。
 
画像は昭和6年(1931)、『時事新報』に連載した紀行文「三陸廻り」の挿画で「雲のグロテスク」。光太郎自筆のペン画です。