先週、大阪は堺で与謝野晶子の命日の集い、第32回白桜忌に行って参りまして、今週末には東京・日暮里にて「ひとりオペラ「与謝野晶子みだれ髪」」を聴きに行って参ります。このところ与謝野晶子がマイブームです(笑)。
そこで、一昨日、居住地の千葉県北東部で与謝野晶子巡りをしてきました。
「収蔵優品展 ―書における文学とは何か―」展
期 間 : 平成26年5月3日(土)~6月15日(日)まで
時 間 : 9:00~16:00(最終入館は15:30)
主 催 : 成田山書道美術館/千葉県書道協会
後 援 : 千葉県・千葉県教育委員会・千葉市教育委員会・千葉日報社・全日本書道連盟
休 館 : 月曜日
料 金 : 大人500円(350円) 高・大学生300円(200円) 中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
開催要項
開催要項
古来書の名品と仰がれる遺墨には、名家の書状や各種の銘文などとともに、文学作品の写本を挙げることができます。書と詩歌は、古来、不離の関係を保ってきました。尾上柴舟や松井如流のように詩歌の世界に足跡を遺した書の名家も少なくないとともに、夏目漱石や川端康成のように文学者であると同時に熱心に書に取り組んだ人物もいます。
今回の特集展示では、文学者の書に注目するだけではなく、文学作品と書の関係についても俯瞰できる作品を出品します。両者の関係を改めて検証する機会となれば幸いです。
また、 今回61回展を迎える千葉県書道協会展を同時開催致します。魅力あふれる千葉の書を存分にお楽しみください。
今回の特集展示では、文学者の書に注目するだけではなく、文学作品と書の関係についても俯瞰できる作品を出品します。両者の関係を改めて検証する機会となれば幸いです。
また、 今回61回展を迎える千葉県書道協会展を同時開催致します。魅力あふれる千葉の書を存分にお楽しみください。
出品一覧的なものはサイトにも載っていませんし、会場でも印刷物になっていないということでしたが、晶子をはじめ、尾崎紅葉、 島崎藤村、会津八一、夏目 漱石、 高浜虚子、河東碧梧桐、正岡子規、尾上柴舟、若山牧水、川端康成らの書が並んでいます。もしかしたら光太郎も、と思っていましたが、残念ながらありませんでした。
晶子の作品は、色紙に揮毫した短歌でした。
しらじらと河原の見ゆる木のまよりかなしきはなし春の夕に
大正5年(1916)刊行の『朱葉集』に、初句が異なる
ほの白き河原の見ゆる木の間よりかなしきはなし春の夕に
という歌が載っています。
漱石あたりのキャプションに、近代の文人たちが、近代化、西洋化して行く世相の中で、自らの立ち位置を再確認するためにも進んで書に取り組んだのであろう、といった説明がなされていて、なるほど、と思いました。
続いて、当方居住地の香取市に戻り、利根川河畔に。同市の津宮(つのみや)地区に晶子の歌碑があります。
かきつばた香取の神の津の宮の宿屋に上る板の仮橋
この歌は、翌年に刊行された晶子歌集『青海波』に収録されています。この『青海波』、扉のデザインは光太郎です。
香取市の名称は市内にある「香取神宮」に由来します。全国に点在する香取神社の総本社で、歴史は古く、平安時代の「延喜式」には「神宮」の名がついた神社は、伊勢神宮、香取神宮、そして同一地域の鹿島神宮の三社しかありません。
津宮地区は、香取神宮に参拝するため水路で来た場合、上陸する地点でした。現在も晶子碑周辺には鳥居がありますし、市指定文化財の常夜灯が残っています。ただ、宿屋は現存しません。
近くには昭和20年代に建てられた古い郵便局の建物。現在はその隣が普通の郵便局です。いい感じにレトロです。
晶子も歌に詠んだ佐原のあやめ、ぜひご覧下さい。
【今日は何の日・光太郎 補遺】 6月2日
昭和48年(1973)の今日、文治堂書店から光太郎の実弟・高村豊周の歌集『清虚集』が刊行されました。
昨年の今日、このブログの【今日は何の日・光太郎】に書きましたが、今日は豊周の命日です。
豊周は鋳金の分野で人間国宝でしたが、短歌にも大きな足跡を残し、昭和39年(1964)、歌会始の儀で召人を務めた他、生前に『露光集』(昭35=1960)、『歌ぶくろ』(同41=1966)、『おきなぐさ』(同44=1969)、の三冊の歌集を上梓しました。
『清虚集』は、豊周の一周忌を記念して編まれた遺稿歌集。光太郎・豊周兄弟と親交の深かった草野心平が跋文を書いています。