昨日は鎌倉に行って参りました。
 
第一の目的は、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開催中の「ロダンからはじまる 彫刻の近代」を観るためでした。
 
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こじんまりとした企画展示でしたが、内容は濃いものでした。
 
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まず会場にはいるとロダン作「花子のマスク」。明治41年(1908)の作です。ただし、「鋳造1974年」と特記してありました。
 
以前にも書きましたが、花子はロダンのモデルを務めた日本人女優で、光太郎は昭和2年(1927)に岐阜まで会いに行っています。
 
それからロダンの素描が1点、展示されていました。
 
他はロダンに影響を受けた後進の彫刻家達の作品。海外ではブールデル、ジャコメッティなど、日本では中原悌二郎、戸張孤雁、保田龍門など。
 
そして光太郎。大正6年(1917)の「裸婦坐像」と、同15年(1926)の「大倉喜八郎の首」が並んでいました。
 
それから特集展示ということで、チェコの彫刻家ズビネック・セカールの作品が約20点。庭にも本郷新や柳原義達など、やはりロダンや光太郎の影響を受けた彫刻科の作品がありました。
 
正直、荻原守衛や舟越保武、佐藤忠良なども並んでいるともっとよかったかな、と思いましたが、ぶらっと立ち寄るにはちょうどいい規模かもしれません。
 
会期は来年3月23日までです。
 
こちらがあまり時間がかからなかったので、古都・鎌倉を歩きました。以前から行ってみたいと思いつつ、未踏の場所があったからです。
 
材木座にある長勝寺さん。日蓮宗の古刹で、元々日蓮が草庵を結んだ地だそうです。
 
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こちらの境内に立つ日蓮上人の銅像が、光雲の作です。
 
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上の画像、対象物がなくて大きさがわかりにくいと思いますが、高さ約8メートルだそうで、巨大な像です。日蓮と言えば辻説法。その姿をとらえています。
 
この像、もともとここに建てられたものではなく、東京の洗足池畔にあったものを移したとのことですが、詳しい経緯などは書かれていませんでした。
 
日蓮といえば、光太郎も東京美術学校の卒業制作(明治00635年=1902)で日蓮を作っています。題して「獅子吼」。こちらは経巻を投げ捨て、憤然として立つ姿、とのことですが、腕まくりをして、今にも殴りかかってきそうなポーズです。腕を組んでいる、と勘違いしている方が多いのですが、右腕は垂らしています。
 
やはり光太郎の日蓮の方が、近代的ですね。おそらく光雲の日蓮は上野の西郷隆盛像や皇居前広場の楠木正成像同様、原型は木型でしょう。衣の波打ち方など、様式にはまっていて、リアルさには欠けています。迫力はあるのですが……。
 
さて、今日は自家用車でなく、公共交通機関で行きました。鎌倉駅に行くのも一つの目的でしたので。
 
今年6月に、横浜で、「こころに残る美しい日本のうた 智恵子抄の世界に遊ぶ」というコンサートをされたフルート奏者の吉川久子さん。

今年7月から、JR鎌倉駅の発車メロディーとして、吉川さんの演奏による「鎌倉」(♪しーちりがーはーまーのー、いーそづーたーいー)が流れているとのことで、聴いてみたかったのです。いい感じでした。通常の発車メロディーは電子音によるもので、やはり機械的な感じが否めませんが、JR鎌倉駅のものは吉川さんのフルート演奏を録音して使っているため、温かみがあります。古都の雰囲気にぴったりですね。
 
鎌倉駅をご利用の際には、ぜひ耳をお傾け下さい。
 
【今日は何の日・光太郎】 12月23日

昭和63年(1988)の今日、東京地方裁判所民事法廷において、長く争われていた『智恵子抄』著作権に関する裁判の判決が言い渡され、著者側の勝利となりました。
 
その後の控訴審も同様の判決が出、著作権に関する代表的な判例ということで、法曹界では有名な事象です。