今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」。12月に入
り、いよいよ大詰めとなってきました。おそらくあと2回で最終回だと思います。智恵子と同じく福島出身の女性・新島八重が主人公ということもあり、欠かさず見続けています。
![007](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/8/5/85280e2b.jpg)
二本松を舞台にした回では、八重役の綾瀬はるかさんが「あれが安達太良山」とつぶやくシーンもありました。
昨日放映の第48回は、明治22年(1889)から翌23年(1890)が舞台でした。既に光太郎・智恵子は生誕し、光雲が東京美術学校に奉職しはじめた時期です。
というわけで、「八重の桜」登場人物の中には、光太郎や光雲と縁の深い人物が何人かいます。
まず、吉川晃司さんが演じていた西郷隆盛。直接面識はなかったと思われますが、光雲が制作主任となって、明治東京美術学校総出で上野にその銅像が造られました。竣工は明治31年(1898)です。
それから光雲がらみでいうと、伊藤博文。キャストは加藤虎ノ介さん。こちらも光雲と直接面識があったかどうか微妙ですが、昭和7年(1932)に朝鮮の京畿道京城府に伊藤の菩提を弔うべく建立された博文寺の本尊は光雲の作です。
![イメージ 2](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/4/4/44d45f4c.jpg)
左端が光雲、右端に伊藤の遺影が写っています。
光雲と直接面識があったのが確かなのが、反町隆史さん演ずる大山巌。西郷像の制作に関わり、会っています。
光太郎がらみの人物としては、蘇峰徳富猪一郎(キャスト・中村蒼さん)。光太郎が詩部会長を務めた日本文学報国会(昭和17年=1942結成)の会長を務めていて、『高村光太郎全集』にもその名前が散見されます。
それから非常に細かい話ですが、前々回の第47回で、オダギリジョーさん演ずる新島襄が、東京で財界人相手に同志社大学設立のための募金呼びかけを行ったシーン。参加者の名簿の中に大倉喜八郎の名がありました。大倉はホテルニューオークラなどの大倉財閥を築いた人物。昭和2年(1927)に、光雲が大倉の肖像を木彫で作っています。さらに肖像をやや苦手としていた光雲のために、原型はその前年に光太郎が粘土で作成。その時の様子を光太郎は、のちに詩「似顔」(昭和6年=1931)に書いています。曰く、「九十一歳の鯰」(大倉のこと)、「このグロテスクな顔面に刻まれた日本帝国主義発展の全実歴」等々。
![イメージ 3](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/9/c/9c2a38d5.jpg)
左が光雲作の木彫、右はその原型として光太郎が作った塑像をブロンズに鋳造したものです。
とりあえず気づいたところではこんなところですが、あと2回のオンエアでさらに関連する人物が出てくるかもしれません。
逆に「八重の桜」キャストをみると、以前に光太郎がらみの映像作品等に出演されていた方がたくさんいらっしゃいます。以前に連続テレビ小説「あまちゃん」に関して同じようなことを書き、好評でしたのでまた書いてみます。
まず主演の綾瀬はるかさん。平成21年(2009)に映画「おっぱいバレー」でやはり主人公の寺島美香子を演じられました。この映画は光太郎の詩集『道程』が重要なモチーフになっていました。
同じ「おっぱいバレー」で、綾瀬さんの少女時代を演じていたのが大後寿々花さん。「八重の桜」では、同志社女学校の生徒・小松リツ 役でしたが、かつて会津戦争で薩摩藩士だった父親を八重に射殺されたという設定でした。
![イメージ 4](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/5/3/53022744.jpg)
![イメージ 5](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/0/f/0fc54fa7.jpg)
続いて会津藩家老・西郷頼母役の西田敏行さん。平成
6年(1994)オンエアの連続ドラマ「いつも心に太陽を」で主演。これはやはり光太郎の詩集『智恵子抄』が重要なモチーフになっていました。ちなみに準主役の観月ありささんは「智恵子」という役名でした。
![008](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/4/c/4c764929-s.jpg)
会津藩がらみでいくと、藩主・松平容保(綾野剛さん)の姉・照姫(稲森いずみさん)の侍女・滝瀬役の筒井真理子さん。昨年公開の反原発映画で、やはり『智恵子抄』へのオマージュにもなっていた「希望の国」にご出演。故・夏八木勲さん演じる主人公の隣人で、原発から20キロ圏内に自宅があって強制的に待避させられる役でした。
同じ「希望の国」では、「八重の桜」で土方歳三役だった村上淳さんが、主人公の息子役で出演されていましたし、避難民役の並樹史朗さんも共に会津藩士役で「八重の桜」に出演なさっていました。
![009](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/9/1/915a0694.jpg)
さらに会津藩勘定役・中野平内の長女で、娘子隊を率いて薙刀をふるい、壮絶な戦死を遂げた中野竹子役の黒木メイサさん。平成22年(2010)にユニクロのCM「何処もかも冬だ」篇にご出演。これは光太郎詩「冬の詩」を使っていて、かなりインパクトのあるものだったので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
![イメージ 8](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/0/e/0e811f48.jpg)
ユニクロのCMで黒木さんと共演した松田龍
平さんは「あまちゃん」でミズタクこと能年玲奈さん演じる天野アキのマネージャー・水口琢磨役でしたが、以前にこのブログで「あまちゃん」について書いた時にうっかり失念していました。追記しておきます。
![010](https://livedoor.blogimg.jp/koyama287/imgs/e/6/e6ecbcfa.jpg)
やはり会津藩大砲奉行で壮絶な戦死を遂げた林権助役は風間杜夫さん。TBS系の「浅見光彦シリーズ」で沢村一樹さん演じる浅見光彦の兄にして警察庁刑事局長の浅見陽一郎役をなさっていました。このシリーズでは平成21年(2009)に、連ドラ枠として「浅見光彦 最終章」がオンエアされましたが、その最終回が「草津・軽井沢編」。光太郎の彫刻の贋作を巡る事件が扱われました。
その際に犯人役を演じたのが清水綋治さん。「八重の桜」では新島襄の父親・新島民治役で重厚な演技を見せて下さいました。
浅見陽一郎といえば、フジテレビ版の中村俊介さん演じるシリーズでは榎木孝明さんが演じられています。フジテレビ版でも光太郎の贋作を巡る「「首の女」殺人事件」がオンエアされました(平成18年=2006)。榎木さんは「八重の桜」では井伊直弼役でした。
とりあえず思いついたのは以上です。
さて、「八重の桜」。本編はあと2回でしょうし、例年通りなら年末に総集編が放映されるはずです。ぜひご覧下さい。
【今日は何の日・光太郎】 12月2日
昭和18年(1943)の今日、光太郎が委員として関わり、東京都美術館で開催されていた藤島武二遺作展覧会が閉幕しました。
藤島は、黒田清輝などとともに、光太郎が留学直前の明治38年(1905)に再入学した東京美術学校洋画科で教鞭を執っていました。
光太郎の同級生には藤田嗣治、岡本一平(岡本太郎の父)などがいました。教師も生徒も錚々たるメンバーですね。