過日のブログでご紹介しましたピアニスト・荒野(こうの)愛子さんのCD「『智恵子抄』によるピアノとクラリネットのための小曲集」が届きました。
 
早速聴いてみました。
 
「ピアノとクラリネットのための小曲集」ということで、当然ですが全てインストゥルメンタルです。ピアノは荒野さん、そこに新實(にいのみ)紗季さんのクラリネットが入ります。曲は全て荒野さんのオリジナルです。曲目は以下の通り。
 012
 1. アトリエにて
 2. 人類の泉
 3. 深夜の雪
 4. 僕等
 5. 樹下の二人
 6. あどけない話
 7. 分岐
 8. 風にのる智恵子~千鳥と遊ぶ智恵子
 9. 値ひがたき智恵子
 10. 同化
 11. 終曲Ⅰ--亡き妻智恵子
 12. 終曲Ⅱ--夜風も絶えた
 
以下、あくまで当方の個人的感想です。全体に切ない感じのメロディーラインで統一されていますが、決して暗い雰囲気ではなく、一種の清澄さを感じます。宗教曲にも通じるような。詩の「言葉」に頼らず、音楽のみで表現するのはかなり難しいと思いますが、あえてそれに挑戦したところにピアニストとしての荒野さんの矜恃が感じられましたし、実際、それが成功していると思います。
 
「あどけない話」を聴けば、安達太良山の山の上に広がる智恵子の「ほんとの空」が目に浮かびますし、「風にのる智恵子~千鳥と遊ぶ智恵子」では、九十九里浜の千鳥の鳴き声がピアノで表現されています。荒野さんのピアノに寄り添うような新さんのクラリネットも澄んだ音色で、音楽世界の幅を広げています。
 
ぜひお買い求めを。荒野さんのブログから註004文できます。

 
【今日は何の日・光太郎】 11月7日

明治8年(1875)の今日、光太郎の両親・光雲とわかが結婚しました。
 
その前年に年季奉公が明けて独立した光雲ですが、この年数えで24歳でした。わかは光雲の師・東雲の妹の日本橋小舟町の穀物問屋・金谷善蔵に嫁いでいたおきせの養女(わかは実父の呉服商・金谷浅吉が亡くなり、子供がなかった浅吉の弟・善蔵の養女となりました)。この年、善蔵が病没、店も閉めることとなり、不憫に思った光雲がわかを見そめたというところです。光雲より6歳下の数え18歳でした。