昨日は智恵子命日「レモンの日」ということで、染井霊園の高村家墓所に行って参りました。
 
生憎の雨でしたが(というか、わりと有名な話ですが、光太郎がらみの日は見事なくらいいつも雨です)、香華とレモンをお供えして参りました。
 
高村家墓所の周りになぜか黒猫が二匹。睦まじくじゃれあっていました。光太郎智恵子夫妻も駒込林町のアトリエで黒猫を飼っていたことを思い出し、猫たちが光太郎智恵子に見えました(笑)。
 
その後、両国に移動、劇団空感エンジンさんの舞台、「チエコ」を見て参りました。
 
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演劇等で、アイロニカルな視点で光太郎智恵子を描く場合も少なからずありますが、この舞台では最期に智恵子が救われるような、そしてそれによって光太郎も救われる的な終わり方で、なかなかいい感じでした。
 
さりとて全てを肯定するのでなく、よく言われる「光太郎が智恵子を追い詰めた」的な光太郎を糾弾する部分も、智恵子の親友・田村俊子の台詞で表されていました。俊子は、智恵子の絵画作品が放っていた輝きが結婚後に失われたことを残念がり、あまっさえ夢幻界の住人として逝ったことを抗議します。しかし、七年にわたる光太郎の看護の苦労を知り、さらに夢幻の縁で智恵子が作った紙絵を見て、矛先を収めるという流れでした。
 
キャストは7人(光太郎智恵子夫妻、田村俊子、智恵子の姪・宮崎春子、光太郎の弟・豊周、光太郎を敬愛する後輩詩人・草野心平と中原綾子)。若い役者さん達のフレッシュな体当たりの演技で、好感が持てました。
 
脚本的にも、それぞれの登場人物がその当時こんなことを言っていたとしてもおかしくない、またはこんなエピソードが実際にあったかも知れないと思わせるような無理のない、わかりやすいものでした。
 
時折、前衛的すぎて何を表現したいのかさっっっぱりわからない舞台もありますが、今日の「チエコ」は非常にわかりやすいものでした。そういう意味では「レモンの日」の今日、智恵子に対してのよい供養となったのではないでしょうか。
 
公演は明日10/7(月)までと、10/9(水)~14(月・祝)。1日2~3回の公演で、それぞれ3班にわかれて、6班のべ42人の役者さんが出演されます(一部、重なっているようです)。こうした若い方々に頑張っていただき、さらに光太郎智恵子の世界を広めていっていただきたいものです。
 
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さて、当方、今日は福島二本松での智恵子を偲ぶ集い「第19回レモン忌」に行って参ります。
 
例の「日曜美術館」は録画予約済み。帰ってからじっくり観ます。ご覧下さった方、ご感想等お寄せいただければ幸いです。ただし、当方あくまでアドバイザーですので苦情を持ち込まれても困りますが(笑)。
 
【今日は何の日・光太郎】 10月6日

平成元年(1989)の今日、赤坂草月ホールで仙道作三氏作曲のオペラ「智恵子抄」初演が行われました。
 
型破りのキャスト2人だけのオペラで、智恵子役は010連翹忌や女川光太郎祭ご常連の本宮寛子さん、光太郎役は高橋啓三さん。伴奏は田中信昭さん指揮の10人編成アンサンブルでした。
 
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