昨日ご紹介したNHKさんの「日曜美術館」、10月6日放送の「智恵子に捧げた彫刻~詩人・高村光太郎の実像~」。現在岡山県井原市の田中美術館さんで開催中の「生誕130年 彫刻家高村光太郎展」にからめての内容になります。
 
当方、先月30日、オープニングの日に行って参りましたが、その後どういう状況かと思い調べてみました。
 
まず9月9日付の『中国新聞』さんの記事。

全国の光太郎彫刻115点展示

 彫刻家で詩人の高村光太郎(1883~1956年)の生誕130年を記念した特別展「彫刻家・高村光太郎展」が、井原市井原町の田中美術館で開かれている。同市出身の彫刻家平櫛田中=ひらくしでんちゅう=(1872~1979年)も高く評価した彫刻作品を並べ、美術家としての足跡に光を当てている。10月20日まで。
 全国の美術館や個人が所蔵する光太郎の木彫や塑像、スケッチなど計115点を並べる。代表作で、仏像の手に着想を得たブロンズ像「手」や、果物の種を宝石のように削り、みずみずしさを表現した木彫「柘榴(ざくろ)」などがある。
 詩集「道程」「智恵子抄」でも知られる光太郎。展示品の中には、妻智恵子が、果物や花を題材に、色紙を切り貼りした「紙絵」43点もある。
 福山市引野町の無職藤井俊昭さん(63)は「光太郎の作品は、細部にこだわる繊細さと、大胆な彫り方が同居していて魅了される。趣味で彫刻をしているので勉強になる」と話していた。
 一般700円、65歳以上350円、高校生以下無料。9月11日、10月9日午後1時半からは、同館でギャラリートークもある。
 9月29日午後1時半からは井原市井原町の市民会館で、学芸員の記念講演会がある。入場無料。同館=電話0866(62)8787。
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続いて9月12日付の『山陽新聞』さん。

彫刻家高村光太郎の背景探る 井原・田中美術館で作品解説

 特別展「生誕130年 彫刻家・高村光太郎展」を開催中の井原市井原町、市立田中美術館で11日、作品解説があった。美術ファンら約50人が生命感あふれる作品が生まれた背景に耳を傾けながらじっくりと鑑賞した。
 最初に青木寛明主任学芸員が、詩集「道程」などで知られる詩人の顔とは違う彫刻家の姿を紹介。妻・智恵子をイメージした「裸婦坐像」は「結婚直後に作られたもので智恵子との安定した生活が如実に感じられる」と説明した。
 ロダンの影響を受けた代表作「手」については「見る向きによって指が細く見える。いろいろな角度から眺めてみて」と呼び掛けた。
 井原市制施行60周年記念展。光太郎の彫刻48点にロダンらの作品を加えた計115点を展示している。会期は10月20日まで(9月16、23日、10月14日を除く月曜と9月17、24日、10月15日休館)。山陽新聞社など共催。
 作品解説は10月9日午後1時半からも行う。
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11日に行われたギャラリートークの報道です。
 
ギャラリートークは10月9日にも行われる由。それから井原の次に巡回になる愛知県碧南市藤井達吉現代美術館の学芸員・土生和彦氏による記念講演が29日に隣接する市民会館で開催されます。

8d5a5e3c-sそれから、報道ではありませんが、田中美術館の学芸員、青木寛明氏からメールを頂きましたので抜粋します。 

入館者数はまだまだですが、来館者の皆様には好評です。「こんなに良いとは思わなかった」という感想が多々あります。ありがたいことです。先日来館された老婦人は蝉1のご所蔵者に少女の頃、作品を見せてもらったことがあるとのことで、袋があったはずだがと言われ、展示していることを言うと喜ばれていました。
 
こういうエピソードは心が温まりますね。画像は光太郎令甥・髙村規氏の撮影になるものです。

会期、10月20日までです。ぜひ足をお運び下さい。

ae050c75【今日は何の日・光太郎】 9月17日

大正10年(1921)の今日、アメリカの詩人、ウォルト・ホイットマン著、光太郎訳『自選日記』が叢文閣から刊行されました。
 
光太郎は彫刻家としてはあまり金が稼げませんでした。一つの彫刻を仕上げるのにも徹底的にこだわりぬいていたためで、父・光雲のように彫って彫って彫りまくるということはできなかったのです。
 
語学に堪能だった光太郎はこうした翻訳も多く手がけています。この頃、翻訳が一番手っ取り早く稼げる手段だったとのことです。
 
他にも有名な『ロダンの言葉』をはじめ、エリザベット・ゴッホ(画家ゴッホの妹)、ヴェルハーレン、ロマン・ロランなどの訳を手がけています。