光文社さん刊行の女性週刊誌『女性自身』。今週号に光太郎がらみのコラムが載りました。
書評欄的なページが1ページあり、上3分の2は新刊紹介、下3分の1が「私の読み方」というコラムになっています。このコラムで『智恵子抄』が取り上げられています。普段、手に取ることのない雑誌ですのでよくわかりませんが、おそらく、毎回違う人が、ご自分に影響を与えた書籍などを紹介されているのだと思います。
で、今週号は、藤沢久美さんによる「「愛される幸せ」を教えてくれた本 詩集『智恵子抄』高村光太郎」。
取り上げられているのは、光太郎が亡くなった昭和31年(1956)刊行の新潮文庫版『智恵子抄』です。
コンパクトなスペースながら、効果的に引用もしつつ、『智恵子抄』の魅力を語られています。感心したのは、単なる書評に終わらず、ご自身の体験に照らされつつ、評を展開なさっている点。こうしたコラムではそれが大事なのではないでしょうか。
当方、藤沢久美さんという方を存じませんで、ネットで調べてみました。すると、Wikipediaには「実業家、経済評論 家、キャスター。法政大学大学院客員教授、シンクタンク・ソフィアバンク副代表、社会 起業家フォーラム副代表。」という肩書きが。バリバリのキャリアウーマンさんですね。
そういう方でも(というと失礼かもしれませんが)、優れた芸術を身近に置いてご自分の人生に生かされているというのはすばらしいことだと思います。「人生を豊かにする」――芸術の効用ですね。
これまた失礼な言い方かもしれませんが、女性誌もまだまだ捨てたもんじゃないな、と思いました。
ちなみに光太郎は生前、よく女性誌に執筆していました。『婦人公論』、『婦人之友』、『女性日本人』、『婦人画報』、『主婦の友』などなど。いずれ当方刊行の冊子『光太郎資料』で、そのあたりをまとめてみたいと思っております。
【今日は何の日・光太郎】 6月14日
昭和20年(1945)の今日、疎開先の花巻で到着直後にかかった肺炎から恢復、明日床上げする旨の葉書を、親交のあった婦人に書きました。