大谷直子さん演じる「智恵子」が高村智恵子もモチーフにしているということで、たびたびこのブログでご紹介してきた園 子温監督映画「希望の国」。

昨日、主演の夏八木勲さんの訃報がネットに出ました。今朝の朝刊にも。
 
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心よりご冥福をお祈りいたします。

【今日は何の日・光太郎】5月13日

大正8年(1919)の今日、腸チフスで入院中の駒込病院から、滋賀県彦根近郊犬上郡北青柳村の野田守雄にあててはがきを書きました。
 
現存するこのはがきの宛名面には赤で「消毒済」の印が押されています。文面は以下の通り。
 
拝啓
先日感冒の気味にて閉口いたし居候処遂に腸チフスに冒され只今は入院治療いたし居候。今月中には退院いたし得るかと存居候へば貴下宛の彫刻は今少々遅延いたす事と相なる可く此儀御承知置被下度候
 
野田はこの前年、光太郎のブロンズ「裸婦坐像」を注文していましたが、こうしたもろもろの事情で完成が遅延、結局、野田の手に渡ったのはさらに翌年です。
 
来月から千葉市美術館で開催される企画展「生誕130年彫刻家高村光太郎展」の図録には、資料として光太郎の書いたものの中から、個々の彫刻に関するものなども掲載されます。「裸婦坐像」に関しては、この書簡を始め、他にも最近発見したものを含めて野田宛書簡13通が掲載されます。中には「裸婦坐像」のスケッチが描かれているものもあり、一つの彫刻が一人の愛好家の手に渡るまでの経過ということで、非常に興味深いものです。
 
是非ご来場の上、図録もお買い求めください。