新刊を取り寄せました。
 
建築家の中村好文さんの著書で、『小屋から家へ』。2013/4/16、TOTO出版、定価2200円+税です。
 
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同社のサイトから。
 
本書のテーマは「小屋」。「人のすまいの原型は小屋にある」と考える中村氏が手がけてきた極小の小屋から、小屋の面影を宿した小住宅まで12作品を、雨宮秀也氏の撮り下ろしの写真で紹介します。

また、「古今東西 意中の小屋たち」と題して、中村氏が長年魅了され続けてきた「7つの小屋」を巻頭に紹介します。旅好きの建築家としても知られる中村氏が訪ね歩いてきた世界中の小屋から厳選された「ル・コルビュジエの休暇小屋」など実在する小屋から、「鴨長明の方丈」など歴史上の小屋まで、氏が愛してやまない7つの小屋を通して、小屋の魅力を解き明かします。
 
この「7つの小屋」のうちの一つが、花巻郊外の光太郎が7年暮らした高村光太郎山荘。写真や1/75の図面入りで4ページにわたって紹介されています。
 
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写真は写真家の阿部徹雄(大3~平19)の撮影。昭和26年(1951)に『サン写真新聞』という雑誌に阿部による光太郎訪問記事が掲載され、そのために撮影されたものです。
 
『サン写真新聞』に掲載されなかったものを含め、写真の原板と光太郎からの書簡4通が平成22年に阿部氏の子息宅で見つかり、『岩手日報』で報じられました。その後、ご子息の厚意で、大伸ばしされた写真が花巻の高村光太郎記念会に寄贈され、現在、山荘に飾られています。当方の元にもメールで送っていただきました。
 
この手の山荘内部が大きく写っている写真は珍しく、また、それが掲載されている書籍もあまりありません。是非お買い求めください。
 
また、「7つの小屋」のうち、他に光太郎と交流のあったスキーヤー・猪谷六合雄が群馬の赤城山に建てた小屋も紹介されています。猪谷の実家は赤城山の猪谷旅館。たびたび光太郎が訪れたところで、猪谷の名は光太郎日記にも記されていますし、明治37年(1904)に光太郎が描いたスケッチ帳が『赤城画帖』として昭和31年(1956)に刊行された際、その解説を書いているのが猪谷です。
 
さて、乃木坂の建築・デザイン専門ギャラリー「TOTOギャラリー・間」において、著者の中村好文氏の個展「小屋においでよ!」が開催中です。
 
『小屋から家へ』の出版とリンクしているようで、3階の第1会場では「7つの小屋」の紹介、中庭には中村氏が設計した原寸大の「ひとり暮らし用」の小屋が展示されているとのことです。そこには光太郎山荘のエッセンスも取り入れられているのではないでしょうか。
 
暇を見つけて行ってこようと思っています。
 
【今日は何の日・光太郎】5月9日

大正7年(1918)の今日、智恵子の父・長沼今朝吉が歿しました。

これを機に、素封家だった長沼家は没落の道を歩み始めます。