国立西洋美術館「手の痕跡」展をレポートします。
これは同館で所蔵するロダンの彫刻58点とブールデルの彫刻11点、素描や版画を展示している企画展です。当方、ロダン作品をまとめてみるのは初めてで、非常に興味深いものがありました。
11/24、9時半頃西洋美術館に着きました。まずは予習を兼ねて以前から前庭に展示されている屋外彫刻を見ました(これらも出品点数にカウントされています)。
ロダン作、「考える人(拡大版」)、「カレーの市民」、そして「地獄の門」などです。ご存知の方も多いと思いますが、有名な「考える人」は、最初は「地獄の門」の群像の一部でした。他にも「地獄の門」から取り出して単体の彫刻になったものは数多くあります。
そして館内地下の企画展示室へ。フラッシュを発光させない、シャッター音に気をつけるという条件のもと、撮影は許可されていました。
大半は松方コレクションですが、ロダン彫刻の中でも有名なものがいくつも含まれています。「青銅時代」「洗礼者ヨハネ」「鼻のつぶれた男」「考える人」「ヴィクトル・ユゴー」「接吻」などなど。ほとんどはブロンズで、数点、大理石が混ざっているという構成でした。
また、「バルザック」や「地獄の門」の習作もあり、完成作との比較という点で興味深く見ることができました。
ところどころにブールデルの作品。作風の似通った二人ですが、おもしろいことに、知らない彫刻を遠目に見ても「あれはブールデルだな」というのがほぼ間違いなくわかること。似通っていても個性がはっきり出ているのです。
それから素描や版画。光太郎はロダンの留守中にロダン宅を訪ね、夫人のローズからおびただしい素描を見せられ、圧倒されたという逸話があります。もちろん彫刻の数々も光太郎に大きな衝撃を与えたのはいうまでもありません。
さて、感想を。100年の時を経たものがほとんどですが、やはり素晴らしい、の一言に尽きます。「具象」の持つ即物性が圧倒的な力で迫ってきます。「質感」「量感」とでも言えばよいでしょうか。それから不動のものでありながら躍動感にも溢れています。光太郎は、彫刻というものは決して止まっているものではない、自分の方が彫刻の周りをぐるっと回ることで、変化して行く「辺相」=輪郭を楽しむことができる、といったようなことを述べています(すみません、ぱっと出典が思い浮かびません)。今回も展示の方法が工夫され(すべてを壁際に押し込められるとそういう見方ができません)、いろいろな角度から見ることができ、それが実感できました。
ぜひ足をお運び下さい。
明日は、光太郎彫刻との比較的な部分でレポートします。