今日は和歌山県の田辺市立美術館に行って参りました。9/17、9/27のブログで御紹介しました企画展「詩人たちの絵画」展を観るためです。ついでに獲れたて海鮮のお寿司を食べ、南紀白浜温泉にもゆっくり浸かって参りましたが、そちらはあくまでついでです。念のため(笑)。
会期は11/4(日)までということで、本当はもう少し早く行ってレポートし、宣伝しようと思っていたのですが、いろいろ都合が付かず今日になってしまいました。
いい意味で、シンプルな企画展でした。時折、特に大資本を背景に持つ私設の美術館等で出くわすのですが、「これでもか、これでもか」という出品点数の多さで、見終わって食傷気味になるような企画展があります。ところが田辺の企画展は良い意味で、非常にすっきりしていたな、という感じです。
学芸員の三谷氏曰く「金がたりない、人手がたりない、時間も足りない、で、この程度しかできないんです」とのことでしたが、いやいやどうして、押さえるべきところはきちんと押さえ、落ちついてゆったりと観られる企画展でした。
光太郎の作品は油絵と素描が二点ずつ、そして彫刻の「手」。いずれも初めて見るものではありませんでしたが、何度見てもいいものです。特に油絵二点は以前にも見ているはずですし、手持ちの資料で画像としてはよく見ているはずなのに、改めて見ると「ああ、こんな感じだったんだ」と思いました。やはり画像ではわからない筆致がよくわかったりとか、あたりまえですが実物大で見るとまた違って見えたりとか、新たな発見でした。
「詩人たち」ということで、他にも10人の作品が展示されています。下の画像は図録の裏表紙に印刷された出品作家の肖像写真。左上から片山敏彦、立原道造、難波田龍起、村山槐多、木下杢太郎、光太郎、西脇順三郎、小熊秀雄、佐藤春夫、中川一政、富永太郎です。
このうち半分以上は光太郎とも縁の深かった人で、実は当方、そういう人々の作品を実物で見るのはほとんど初めてで、ある意味、光太郎作品より興味深いものでした。
再び三谷氏曰く、11人に絞らざるを得なかったということですが、手を広げすぎでごちゃごちゃになるよりずっとよかったと思います。しかし、「誰々がラインナップに入っていないのはけしからん」などという声もあったそうです。そんな話を伺いながら「それなら、すぐには無理でも何年後かにまたやったらいいじゃないですか」と申し上げたところ、既にそのおつもりでいるとのこと。佐藤春夫のお膝元、和歌山ということで、「文学関係にも強い美術館」というコンセプトでやっていきたいそうです。頼もしい限りです。
田辺市立美術館、和歌山県下では唯一の市立美術館だそうです。いろいろ大変だとは思いますが、頑張って欲しいものです。というと失礼ですね。頑張っているので、それを継続して欲しい、というべきですか。
さて、「詩人たちの絵画」、11/4(日)までです。お近くの方、是非足をお運び下さい。また、お近くでなくとも、実は羽田から隣町の南紀白浜空港まではわずか1時間のフライトです。当方、今日も日帰りでした。東日本の方もぜひお越しください。