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福岡から帰ってきました。今回の福岡行きは、玄海椿さんの一人芝居「智恵子抄」が目的でした。
 
玄海さんは、劇団ひまわり福岡アクターズスクールの講師を務めるかたわら、ご自身で「椿演劇塾」を主宰、後進の育成にも力を入れられています。もちろんご自身の舞台も。九州を拠点に「舞台人生37年」だそうで、平成12年に独立、ご自分で脚本を書いた一人芝居が約20本。「智恵子抄」はそのうちの一つだそうです。
 
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今回の公演は「グラン・ジュテ」と銘打ったツアーの2日目。これは玄海さんのお嬢さんの平田愛咲(あずさ)さんとのジョイントです。
 
愛咲さんはミュージカル女優という分類になるのでしょうか。東京の東宝ミュージカルアカデミーのご出身で、本年、ハンガリーで行われた「第1回シルヴェスター・リーヴァイ国際ミュージカル歌唱コンクール」でグランプリを獲得された他、はいだしょうこさんとのWキャストで松平健さん主演のミュージカル「王様と私」などにご出演なさっています。

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愛咲さんのステージは、そういうわけでミュージカルの劇中歌が中心。それだけでなく、お仲間の堀江慎也さんをゲストに、デュエットやタップダンスなども織り交ぜたステージでした。
 
「グラン・ジュテ」としては、今月7日の福岡ふくふくホールを皮切りに、昨日の福岡ロックハリウッドビル・Eternity(ダイニングバーです)、今日は大分、さらに長崎、東京、また福岡、そして熊本と続くとのことです。
 
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玄海さんの部は、20作品あるというレパートリーの中からいろいろやられるそうで、「智恵子抄」は7日と昨日だけだそうです。他には「坂本龍馬が愛した女」「唐人お吉」などなど。
 
玄海さん演じる智恵子。光太郎と知り合った頃から、結婚、その後の貧窮生活、絵画への絶望、実家の破産を経て、夢幻界を彷徨う姿、そしてその終焉までを情念たっぷりに表現されていました。ほんとに「情念」という言葉がぴったりで、「女はコワい」と思いました。細かなエピソードなどもよく調べられていて感心させられましたし、智恵子の魂の叫びは「さもありなん」という感じでした。それでも光太郎智恵子をおとしめるものではなく、そうならざるをえなかった二人、といった点はしっかりと踏まえられていたように思います。
 
終演後、お弟子さん達と一緒に、会場のEternityさんでの打ち上げに参加させていただきました。皆さん、心から演劇を愛されている方ばかりでした。連翹忌にもお誘いしましたし、機会があれば東京や東北でも「智恵子抄」を演じてみたいそうです。自分の所のイベントで呼んでみよう、という方がいらっしゃいましたらお声がけ下さい。仲介いたします。
 
いつも書いていますが、こういう分野でも光太郎智恵子をどんどん扱っていただくのはありがたいことです。また、劇団ひまわりさんで使っている子供達のテキストに「あどけない話」が昔からずっと載っているとのこと。これもありがたいことです。明治大正昭和の初めに、峻烈な「生」の試みに挑んだ光太郎智恵子の世界、いつまでも語り継がれてほしいものですから。