このところ、光太郎と船に関する内容で攻めていますので、今回も最近入手した船がらみの資料を紹介します。
昭和6年(1931)に、岩手日報社から発行された「岩手縣全圖昭和六年版」の附録、「省線外乗車船賃金表」です。
東北本線、岩手軽便線(宮沢賢治の代表作の一つ『銀河鉄道の夜』のモデルともいわれています)など、鉄道の運賃、営業キロ数などが記載されています。
鉄道だけでなく、気仙沼~宮古間の三陸汽船(宮古航路)についても表が載っています。昭和6年(1931)といえば、まさしく光太郎が「三陸廻り」の旅をした年。しかもこの宮古航路に乗っているのです。面白いものが手に入ったと喜んでいます。
宮古航路における光太郎。まずは東華丸という船で約8時間かけて気仙沼から釜石へ。営業キロ数140.2㎞、料金は特等3円29銭、並なら2円19銭。ついで釜石から宮古へ、また約8時間、第2三陸丸という船に乗ります。営業キロ数104.5㎞、料金は特等2円54銭、並なら1円69銭。おそらく光太郎は特等には乗っていないと思われます。
同じ「省線外乗車船賃金表」によれば東京仙台間の東北本線が乗車賃一等8円56銭、急行料金一等2円。当時の物価としては豆腐1丁40銭、カレーライス10銭、ビール大瓶35銭。
手元にある書籍で、昭和5年(1930)発行の四六判上製函付のアンソロジー『日本現代詩選』が1円70銭、昭和8年(1933)発行の新潮文庫『大正詩選』が35銭。
こういうのも調べてみると面白いものです。