今日は練馬区立美術館さんの<N+N展関連美術講座>「触れる 高村光太郎「触覚の世界」から」に行って参りました。本日まで開催の日本大学芸術学部美術学科さん(N)と練馬区立美術館さん(N)の共同企画展「N+N展2012」の関連行事です。
「N+N展2012」は「触れる」というテーマのもと、日本大学芸術学部美術学科教職員の皆様による作品を展示していました。最近の美術界の傾向として、視覚だけに頼るのではなく、もっと五感(五官)を駆使すべしという流れがあるそうで、こちらのテーマも「触れる」ですから、自由に触れられる作品が多く展示されていました。
そして講演は「触れる 高村光太郎「触覚の世界」から」。講師は同大教授の髙橋幸次氏。パワーポイント等使いながら、非常にわかりやすいお話で、1時間40分ほど、あっという間でした。
光太郎は昭和3年(1928)の時点で、既に五感(五官)すべてが「触覚」に帰結する、という趣旨の発言をしていることをご紹介されました。そう考えると、光太郎は時代を突き抜けていたといえるかも知れませんね。
それから有名な「手」の彫刻を実例に挙げての光太郎の空間認識。当方、あの彫刻の画像を名刺に使ったりしていながら、今までそういう見方をしたことがなかったのですが、てのひらの部分に空間が設定されており、それを包み込みながら回転運動、そして人差し指が指す天を目指してあがってゆくイメージがあるとのこと。確かにそう見えます。
下の画像は平成19年(2007)、新潟市の会津八一記念館で行われた企画展の図録の表紙です。「手」が使われているので載せさせていただきました。おわかりになるでしょうか。
あのロダンの「考える人」も、実はものすごいねじり、ひねりが入ったポーズです。自分でやってみるとわかりますが、右の肘を左の膝に置いています(このあたり、ミケランジェロの影響を指摘する説もあります)。こういうイメージ、いわば「視覚で触る」というようなイメージですね。それを光太郎も意識している、と、こういうわけです。
実にいい勉強になりました。
確かに光太郎は他にも様々な彫刻で、空間認識を大事にしているな、ということに思い当たりました。明日はその辺を書いてみようと思います。