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2012年7月6日(金)~8日(日)の3日間、東京神田の東京古書会館で、年に一度開かれる古書籍業界最大のイベントの一つ、「明治古典会七夕古書大入札会」が開かれます。
古代から現代までの希少価値の高い古書籍(肉筆ものも含みます)ばかり数千点が出品され、一般人は明治古典会に所属する古書店に入札を委託するというシステムです。毎年、いろいろな分野のものすごいものが出品され、話題を呼んでいます。光太郎関連も毎年のように肉筆原稿や書簡、署名入りの書籍などが出品されており、目が離せません。
さて、今年の「明治古典会七夕古書大入札会」、昨日、出品目録がネット上にアップロードされました(これも今か今かと心待ちにしていました)。冊子の目録もおっつけ届くはずです(簡易版の目録は先週届いています)。ちなみに冊子の目録、ご希望の方は明治古典会加盟の古書店に請求すれば手に入ります(2,500円のはずです)。当方、何度か取引があった本郷の文生書院様にお願いしてあります。
光太郎関連、今年は例年にましてたくさん出品されています。
最低入札価格が設定されており、人気の商品はここからどんどん値が上がっていきます。
驚いたのは、詩集『道程』のカバー付きが出たこと。状態にもよりますが、カバー無しであれば10万円位で時々出ますが、カバー付きはここ数十年で、公の市場には数回しか出ていないはずです(当方もカバー無しは一冊持っています)。最低入札価格が40万円ですが、おそらくここから跳ね上がるでしょう。ただ、「背少傷(背の部分にそれとわかる傷があって痛んでいる)」ということなので、驚く程の値段にはならないかも知れません。稀覯本コレクターの方々は、本当に状態を気にしますので。
それにしても、以前と比べると古書価もぐっと下がりました。やはり長引く不況の影響なのでしょう。試みに昔の目録を調べてみました。バブル真っ盛りの平成2年頃の目録では最低入札価格の記載がなく、比較できませんが、既にバブルがはじけた後の平成9年の目録と比較しても、明らかに値が下がっています。
例えば、宮澤賢治『春と修羅』。平成9年の最低入札価格は105万なのに対し、今年は2冊出品されていて、50万と78万。与謝野晶子の『みだれ髪』は、平成9年に100万だったのが、今年は40万。状態にもよるので、単純な比較はできませんが。ちなみに当方の記憶に間違いがなければ、『春と修羅』はバブルの頃には250万位の値がついたはずです。
『道程』も「40万」と聞くと「安いな」という感覚です。10数年前、カバー付きを持っているという古書店主と話をした時に「150以下では手放せないね」と言っていたのが記憶に残っていますので。もっとも40万から値が上がると予想しています。いくらになるのか興味深い所です。
しかし、こうした書籍系の値は下がっているものの、ここ数年、肉筆系の出品物は以前にも増して充実しているなと感じます。やはり古書店側も書籍系の値が下がっているためにいろいろ考えてこういうものを積極的に掘り出しているのではないでしょうか。ただし、落とし穴もありますね。今回の光太郎関連の出品物の中にも、いけないものが混ざっています。差し障りがあるので特定はしませんが。
さて、7月6日(金)~8日(日)の3日間のうち、6日、7日が一般公開。とても手の出る値段ではないので、入札はしませんが、目の保養のためどちらかの日に観に行ってみようと思っています。