福島・二本松に行って参りました。二回に分けてレポートいたします。
目的は、二本松で活動を続けている「智恵子のまち夢くらぶ」主催の「智恵子講座’12」参加のためです。昨日が第3回、二本松在住の児童文学者・金田和枝氏による講演「求愛熱愛期を中心にして」でした。
前日は安達太良山麓の岳温泉に一泊。熱めの酸性の湯、温泉温泉した温泉で、(意味お判りでしょうか?)ここの湯も当方、大好きです。路線バスで山を下り、午前十時の開会に合わせ、会場に入りました。
会場は平成21年、二本松駅前に新たに建てられた二本松市民交流センター。ちなみにこちらは大山忠作美術館さんを併設しています。故・大山忠作は同市出身の日本画家で、同館には「智恵子に扮する有馬稲子像」などの作品が展示されています。これは題名の通り、昭和51年(1976)の作で、新橋演舞場で公演された「智恵子抄」の主演、有馬稲子さんを描いた作品です。縦2メートル以上の巨大な絵で、その色調などとあいまって、不思議な存在感のある絵です。
ちなみに交流センターと川を挟んだ向かい側、駅ロータリーの一角にはやはり平成21年(2009)に智恵子をイメージしたという彫刻「ほんとの空」も設置されました。作者は元・日展理事長橋本堅太郎氏です。
さて、肝心の講演ですが、講師の金田氏は昭和5年(1930)、東京品川の生まれ。戦時に疎開で二本松に移り住み、長らく小学校の先生をなさっていた方です。地元福島の出版社・歴史春秋社から『智恵子と光太郎 たぐいなき二つの魂の出会い』『ふくしま女の時代』(共著)などの御著書があります。
講演は『智恵子抄』の前半に収められた詩を中心に、光太郎・智恵子の恋愛期を追究するものでした。氏の女性ならではの、また、失礼とは存じますが、豊富な人生経験をふまえられての視点は、素晴らしかったと思います。また、時にユーモアを交え、聴く者を飽きさせないすばらしいご講演でした。
講演の後、少し時間が余ったと言うことで、当方に15分程しゃべれ、という指令が。先月の仙台びすた~りさんでの荒井真澄さん・齋藤卓子さんの朗読イベントでもそうでしたし、こういう突然の振りにも慣れて参りました。連翹忌の宣伝や、光太郎・智恵子顕彰活動の意義、特に地域に根ざした活動の重要性などを話しました。
閉会後は近くにできた古民家レストラン(先日の仙台編でも書きましたが、やはり流行ですね)で、金田氏や夢くらぶのみなさんと昼食。御馳走になってしまいました。たった15分の話で一食浮きました。有り難いことです(笑)。
しかし、その席上ではやはり現在の福島ならではのお話が。どこどこの放射線量がどうの、タケノコや山菜がどうの、仮設住宅がどうの……。心が痛みました。また、泊まった岳温泉でも、地元紙「福島民報」「福島民友」さんを読みましたが、ちょうど関西電力大飯原発再開に関する記事が出ており、中央の新聞とは明らかに異なる怒りを露わにした論評。「無理もない」と感じました。岳温泉といえば、老舗のホテル松渓苑さんというのがかつてあったのですが、震災で損壊した設備の復旧のめどが立たず、廃業となりました。こちらの社長さんも智恵子顕彰活動にも取り組まれていた方で、連翹忌にもいらしていただいた方だっただけに、やはり心が痛みました。
一日も早く、「ほんとの空」の復興を願ってやみません。
さて、その後は、智恵子生家にほど近い夢くらぶの熊谷会長のお宅にお邪魔し、周辺を案内したりしていただきました。そちらについては明日、またレポートいたします。