昨日までのブログで、当方の研究の根幹の一つ、光太郎作品の集成に関わる「光太郎遺珠」を紹介しました。以前にも書きましたが、平成10年に『高村光太郎全集』の増補版全21巻+別巻が完結した後、さらに発見された作品集です。
現在、「光太郎遺珠」は野末明氏主宰の高村光太郎研究会が発行する年刊の雑誌『高村光太郎研究』に連載させていただいておりますが、しばらくはその形を取らせていただくことになると思います。まだまだ世に知られていない光太郎作品がたくさんあるはずですので。10ヶ月後の来年4月に出す予定の「光太郎遺珠」⑧、すでに編集が進んでおり、現時点で散文が3篇、書簡が13通(少し前に12通と書きましたが、さらに1通増えました)、雑纂が3篇。他に『高村光太郎全集』解題の補遺(『全集』刊行の時点で判明していなかった初出掲載誌の情報等)もあり、これだけでほぼいっぱいいっぱいのページ数です。
したがって、今後見つかるものは、書簡などの短いものであれば何とか収めますが、長いものは22ヶ月後、再来年発行の「光太郎遺珠」⑨に収めるつもりでいます。というか、すでに座談会筆録の長いものが2篇、それから関係各位との交渉が済んでいないため手をつけずにいる講演会筆録もあり、それらだけでも⑨のページが埋まる分量です。どうも長いスパンになりそうです。
さて、そういった世に知られていない作品をどうやって見つけるか、何回かに分けて説明しましょう。他の作家、詩人等について研究されている方は当方の手法が参考になるかと思いますし、逆に「こんな方法があるぞ」というのがあれば御教示いただければ幸いです。
まずは、言い方は悪いのですが「採集」の済んでいる作品の把握。これをしっかりやっておかないと、光太郎作品を見つけた際、それが既に知られている「採集」済みのものなのか、まだ世に知られていないものなのか、判断が付きません。幸い、『全集』別巻にはジャンルごとの「作品題名索引」が載せられていますし、「年譜」の項にはその年に発表・制作された作品のリストが載せられています。それにあたれば、光太郎作品を見つけた際、それが既に知られている「採集」済みのものなのか、まだ世に知られていないものなのか、判断が付きます。
当方はさらに一歩突っ込んで、パソコンで自分なりの索引を作成しました。作品の題名、掲載誌名、雑誌等であればその号数、発表年月日、ジャンル、『全集』「遺珠」の収録巻、その他の備考などの項目で、掲載誌ごとにまとめています(これは今年から当方が発行を引き継いだた冊子『光太郎資料』に少しずつ掲載を始めました)。パソコンデータの強みは「検索」機能が充実していること。データの打ち込みにはかなり時間を要しましたが、その分、検索は一瞬でできるようになりましたので、これは大きいと思います。例えば送られてくる古本屋の在庫目録に「雑誌「○○」 大正×年△月 高村光太郎「□□」掲載」などと書かれていたりするのですが、雑誌名の「○○」や作品名「□□」で検索をかけると、それが既に知られている「採集」済みのものなのか、まだ世に知られていないものなのか、ぱっとわかるというわけです。ただ、いろいろ落とし穴もあるので、そのあたりは後に詳述します。
要するに、他の人が作成したデータベース(古書店の目録など)との照合によって、自分のデータベースにないものを見つけるという作業が基本です。では、どういうデータベースと照合するのか、といったあたりを次回で紹介したいと思います。