昨日は都内に出ておりました。

まずは中目黒。めぐろ歴史資料館さんで昨日から始まった特別展「目黒の名工 千代鶴是秀×小宮又兵衛×高山一之」を拝見。
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明治生まれで既に故人となった目黒ゆかりの名工二人(道具鍛冶・千代鶴是秀と蒔絵筆師・小宮又兵衛)、昭和生まれで現在も目黒でご活躍中の刀装師・髙山一之氏の三人にスポットを当てたものです。

このうち、千代鶴是秀は光太郎と直接交流があり、光太郎は是秀作の彫刻刀を使っていまして、昨年、東京藝術大学さんで開催された「髙村光雲・光太郎・豊周の制作資料」展に出品されました。

今回の展示、是秀は朝倉文夫と交流が深かったため、台東区の朝倉彫塑館さん所蔵の是秀作品が数多く、さらに、平成29年(2017)に『職人の近代――道具鍛冶千代鶴是秀の変容』という書籍を書き下ろされた土田昇氏(土田刃物店さん)所蔵のものなどが展示されていました。

図録(700円)から。
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以前に朝倉彫塑館さんで拝見した記憶があるのですが、何度見ても素晴らしいものです。

昭和15年(1940)に土門券が撮影した光太郎の写真には、これとよく似た彫刻刀が映っています。
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もしかすると、これも是秀作かな、と思っております。

ただ、同じ日に撮影された別のショットでは、是秀っぽくない道具を使っています。まぁ、一つの彫刻を制作するにも色々な道具を使うのでしょうが。
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その他、是秀から朝倉宛の書簡なども多数展示されており、興味深く拝見しました。他の二人の「名工」の作も。

続いて、地下鉄を乗り継いで文京区千駄木へ。旧駒込林町の、光太郎アトリエにほど近い旧安田楠雄邸庭園さんが次なる目的地でした。こちらでは一昨日から「となりの髙村さん展 第3弾 髙村光雲の仕事場」が開催中。
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こちらは、入り口の向きは逆なのですが、まさに髙村家(光太郎実家)の隣です。当方、昨年「語りと講話 高村光太郎作 智恵子抄」で講話をさせていただいて以来、約1年ぶりでした。

2階建ての1階では、髙村家所蔵の光雲作品や古写真など。
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2回の座敷では、昨年から今年にかけての、「髙村光雲・光太郎・豊周の制作資料」展東京藝大さん)、「髙村達写真展 髙村光雲の仕事」(日本写真会館さん)、「善光寺御開帳記念 善光寺さんと高村光雲 未来へつなぐ東京藝術大学の調査研究から」(長野県立美術館さん)などに展示された、光雲作品の写真タペストリー等(光雲令曾孫・髙村達氏撮影)が中心でした。
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達氏がいらしていて、久しぶりにお目にかかりました。コロナ禍前の令和元年(2019)の連翹忌以来だったでしょうか、久闊を除しました。この写真類をお借りして、当方が関わっている花巻の高村光太郎記念館さんあたりで企画展示が行えないものかと、そんな提案をしておきました。

安田邸をあとに、ここまで来たついでなので(笑)、指呼の距離にある光太郎旧居址。今は一般の住宅になってしまっています。
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その中間には、過日ご紹介した洋画家・近藤洋二が厄介になっていた、宮本百合子の実家。
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この案内板の前を通って、細い路地をくねくね行き、突き当たりを左折すれば光雲邸(光太郎実家)のあった現・髙村邸。さらに安田邸の裏門となります。

さて、「目黒の名工」は12月11日(日)まで、「となりの髙村さん展」は会期が短く11月6日(日)までです。さらに安田邸にほど近い文京区立森鷗外記念館さんでは、特別展「鷗外遺産~直筆原稿が伝える心の軌跡」も開催中です。それぞれぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

午后山端静子くる、果物をもらふ、丈夫のやうなり、155番地にゆきたる由、筆談、

昭和29年(1954)9月29日の日記より 光太郎72歳

山端静子」は光太郎のすぐ下の妹。現在、令孫が北鎌倉でカフェ兼ギャラリー笛を経営なさっています。この兄妹が会ったのは戦後2回目、そしておそらく光太郎生前最後だったようです。

155番地」は先述の光太郎実家。光太郎、しづ(静子)兄妹のさらに下の豊周が跡を継いで居住していました。