「智恵子抄」などの光太郎詩にオリジナルのメロディーを附けて歌われているシャンソン系歌手のモンデンモモさん。先月から西日本を中心に「ありがとうコンサート」と題するツアーを展開なさっています。
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会場ごとにコンセプトやコラボ出演者等いろいろのようで、詳細な曲目等発表されていませんでしたので、これまで紹介せずにいました。

ただ、今週行われる京都でのステージで、「智恵子抄」が前面に押し出されるという情報を得ましたのでご紹介します。何と、生け花とのコラボだそうで。

モンデンモモありがとうコンサート 「はじまりは 花に溢れ」

期 日 : 2022年9月15日(木)
会 場 : 池坊学園こころホール 京都市下京区四条室町鶏鉾町491
時 間 : 15:00~
料 金 : 無料

花と言葉が舞ふ そこに はじまる みち  ある秋の1日 智恵子は かえってきた そしてレモンと歩んでいく  あなたの こころへ

出 演 : モンデンモモ(Vo) 小室弥須彦(Pf) ロザリア(生け花)
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お近くの方(遠くの方でも(笑))、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

奥平さんくる、電通ラジオの人五人くる、奥平さんとの対談30分ほど録音、

昭和28年(1953)12月27日の日記より 光太郎71歳

奥平さん」は美術史家の奥平英雄。光太郎とは戦時中からのつきあいで、昭和19年(1944)には光太郎の評論「天平彫刻の技法について」を含む『天平彫刻』の刊行に奔走した他、この後、昭和30年(1955)に岩波文庫の一冊として現在も版を重ねる『高村光太郎詩集』の編集等にあたりました。

対談」は翌年、文化放送でオンエアされたもので、その一部は「新潮カセットブック 高村光太郎詩集」(平成2年=1990)に収められている他、奥平著『晩年の高村光太郎』特装本(昭和51年=1976 瑠璃書房)に付録としてカセットテープが添えられています。こちらはノーカットです。
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対談を文字起こししたものは、『高村光太郎全集』第11巻に収められていますが、なぜか次の一節が脱漏していました。

奥平 良寛なんてものには、やっぱり好意をお持ちなんですか。
高村 まあ、やっぱり、素晴らしいと思うんですよ。
奥平 いや、私はねえ、やっぱり、先生が「昭和の良寛」のような気がするんですけどね、字から受ける感じが。
高村 それは大違いだな。僕はもっと悪党坊主だから(笑)。
奥平 いや、やっぱり良寛の書っていうのは、非常に私が好きなのは、清潔なっていうのか、ああいう、その、清らかさなんですけどね。そういう意味で先生の書もやっぱり……。
高村 ただ、良寛の方が書が上手い。実によくあれはね、古来の書を、筆で習ってはいないだろうが、習っているんですよ。これは、ねえ、もう、唐あたりの墨跡の、いや、唐あたりの、あの、あれはあれでしょうかな、刷り物でしょうか。実によく見ているんですね。そして羲之あたりの筆法をちゃんと取り入れて。
奥平 そうそう、ずいぶん勉強したそうですね。
高村 ええ。だから、あの馬鹿げたまずいような字ではちっとも、そうじゃないんですよ、本当は。それで良寛を真似てる奴のは本当にまずいけれども。
奥平 そうですね。
高村 良寛自身のはね、あの仮名の、仮名なんてきたら実に巧みだな。あんなこと僕らにはとっても出来ない。あれは暇があったから出来たんですよ。
奥平 いや、だけど先生の書は、ここ数年ますます良くなるばかりですね。
高村 いや、僕は知らない。責任持たない。