昨日は京阪に行っておりました。レポートいたします。

「京阪」と言いつつ、「阪」→「京」の順で、まずは新たにオープンした、大阪中之島美術館さん。こちらでは、オープニング記念の「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」展が開催中。光太郎の父・光雲の木彫「砥草刈」(大正3年=1914)が出ていると云うことで、拝見に伺った次第でした。
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右上は堂島川から見た同館。ビルの谷間の黒い箱状の建物です。
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エントランス前に据えられた、現代アート作家・ヤノベケンジさんの《SHIP'S CAT(Muse)》の前に、テレビ局クルーと思われる皆さん。

ヤノベさんと言えば、智恵子の故郷・福島二本松名物「二本松の菊人形2017」にも猫のオブジェを出品されていました。蛇足ながら、テレビと言えば、先日、とある番組で中之島美術館さんを取り上げた際、アナウンサー氏がヤノベさんを「ヤベノさん」と云っており、呆れました(笑)。

さて、館内に入り、案内の方の指示に従って、当日券の券売機に。12時前に着いたのですが、案内の方は「午後1時からの入場となります」。「まぁ、券だけ買っておいて、昼めし喰って時間をつぶすか」と思いました。ところが、券売機のパネルをタッチすると、午後1時から、そして午後2時からの分も既に完売。1番早くて午後3時からでした。事前にネットでの予約も可能でしたが、「当日券も販売しています」というので、当日券でいいだろ、と思ったのが甘かったのですね。同館、鳴り物入りの開館でしたし、メディアにも随分取り上げられましたから。

遺憾ながら、結局断念し、それでもショップで図録を購入しました。下記が光雲の木彫「砥草刈」。いずれ見られる機会があるでしょう。
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その後、京阪電車の淀屋橋駅から一路、京都へ。

祇園四条駅で下車、八坂神社さんに参拝し、清水方面へ歩きました。

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昨年、「明治の洋館で楽しむドリンクフェア「文学浪漫巡り」~浪漫を味わうひとり時間 レトロなドリンクフェア~」を開催し、『智恵子抄』をイメージして作られた「シトラスジュレのゆずジュース」をメニューに入れてくださった、長楽館さん。
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同フェア、終わっていましたし、日帰りの先を急ぐ旅ですので、外観を撮影したのみでした。
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途中、いかにも京の都、という風情を堪能しつつ、最終目的地、清水三年坂美術館さんへ。
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同館では、3月5日(土)から企画展示「明治・大正時代の木彫」が開催されており、やはり光雲の木彫が十数点出ているということでしたので、こちらがメインの目的でした。
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フライヤーの表に大きく画像が出ているのは、光雲ではなく、光雲と東京美術学校で同僚だった石川光明の作品です。裏面には光雲の「月宮殿」(大正7年=1918)。

出品目録。
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今回、図録は発行されませんでしたが、平成23年(2011)に同館で行われた企画展「高村光雲と石川光明」と、出品作品がかなり重複していて、ショップではその際の図録の残りが勧められていました。オンラインでも入手可です。

光雲作品は14点。「高村光雲と石川光明」の際には伺えませんでして、大半は初見の作品、さらに画像でも見たことのない作品もあったため、文字通り息を呑んで拝見しました。通常の丸彫りだけでなく、レリーフ、香合や菓子鉢などの器もあり、その意味ではバリエーションに富んでいましたし。しかも、それぞれ作の出来や保存状態もいいものばかりでした。

同展、5月29日(日)までと長めの設定です。コロナ感染には十分お気をつけつつ、ぜひ足をお運び下さい。

また、同じく光雲の木彫ということで、花巻高村光太郎記念館さんでの「第二弾・高村光太郎の父・光雲の鈿女命(うずめのみこと) 受け継がれた「形」」もよろしく。

【折々のことば・光太郎】33990

湖を渡りて休屋にゆく、観光ホテルに一泊、 和井内にゆき、ヒメマスのふか場見物、発荷峠、 夕方、 此日アトリエは東京に求むる事を相談の結果きめる、


昭和27年(1952)6月18日の日記より
 光太郎70歳

生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のための下見中です。七年の蟄居生活を経て、ついに帰京を決断しました。ただしこの時点では、像の完成後にはまた花巻郊外旧太田村の山小屋に帰るつもりでいました。

画像はこの日、同行した詩人の藤島宇内が撮った湖上でのショット。翌年、角川書店刊行の『昭和文学全集22 高村光太郎 萩原朔太郎』の月報に載ったものです。