新刊紹介です。
NHK Eテレさんの「にほんごであそぼ」の監修もなさっている齋藤氏、類著も多いのですが、「決定版」と謳われています。
光太郎作品は2篇、ともに詩で「道程」(大正3年=1914)、「レモン哀歌」(昭和14年=1914)。「レモン哀歌」に関しては、前後にレモンをモチーフにした他の作品を配しています。 梶井基次郎の小説「檸檬」(大正14年=1925)の全文、続いて「レモン哀歌」が挟まり、さだまさしさんの「檸檬」(昭和53年=1978)と来て、米津玄師さんの「Lemon」(平成30年=2018) 。
その意図はこういうことだそうで……
確かにレモンという果実には「人間の情緒に深く訴えかける不思議な魅力」がありますね。同じ柑橘系でも「蜜柑哀歌」や「ゆず哀歌」ではさまになりませんし、ましてや他の果物では……。林檎あたりはまだポエムになりそうですが、例えばスイカ。「かなしく白くあかるい死の床で」智恵子がスイカにかぶりついたらギャグでしかありませんし、スイカを丸善の棚に置いたり、聖橋から投げたりしたら、超迷惑です(笑)。意味が解らない方は、ぜひ本書をお読み下さい(笑)。
【折々のことば・光太郎】
松雲閣別館。 昨夜はビールの御馳走になる。 ひる頃真壁氏との対談(朝の訪問三十日)録音をすます。放送局より謝礼をもらふ。
「松雲閣別館」は、花巻温泉に現存します。「真壁氏」は詩人の真壁仁。「朝の訪問」は当時、NHKラジオで放送されていた番組です。この際の録音がNHKさんに残っており、市販CD化もされましたし、平成28年(2016)には「カルチャーラジオ NHKラジオアーカイブス」という番組でオンエアされました。
齋藤孝の小学国語教科書 全学年・決定版
2022年1月20日 齋藤孝著 致知出版社 定価2,600円+税子供たちに一生の宝となる日本語力を身につけ、知性を身につけてもらう。それこそが次の世代にできる最高の贈り物である――。
そんな信念のもと、著者が渾身の思いを込めて作った理想の小学国語教科書。手に取られた方はその分厚さに驚かれ、子供には難しいのではと感じられるかもしれません。しかし子供が難しく感じないようにという大人の一方的な配慮で作られた教科書からは、古典などの硬い読み物が減り、子供の国語力もどんどん低下してしまっているのが現状です。
一方、「国語力を向上させる最も効果的な学習は名文に親しむこと」という方針に沿い本書に収録したのは、夏目漱石や芥川龍之介、シェイクスピアなど文豪の名作、『源氏物語』『徒然草』などの古典、宮沢賢治や金子みすゞの詩歌、坂本龍馬が姉に綴った手紙、松任谷由実、米津玄師などの歌詞まで約百三十作品。すべての漢字に読み仮名を振り、語彙力や漢字力を鍛えるとともに、設問や丁寧なポイント解説を加えることで、読解力や考える力が身につく内容になっています。
約五百五十頁もある教科書を小学校六年間で読み切ったという体験はその後の人生を歩んでいく支えともなることでしょう。大人の学び直しにもおすすめしたい、全国民に贈る教科書です。
目次 音読力をつけよう
「いろはにほへと ちりぬるを」−いろは歌
「あめんぼ あかいな アイウエオ」−五十音 北原白秋
「青いお空の底ふかく、海の小石のそのように」−星とたんぽぽ 金子みすゞ
「私は不思議でたまらない」−不思議 金子みすゞ
「われは草なり 伸びんとす」−われは草なり 高見順
「どっどど どどうど どどうど どどう」−風の又三郎 宮沢賢治
「春はあけぼの。やうやうしろくなり行く」−枕草子 清少納言
「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」−道程 高村光太郎
速音読トレーニング
「つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼ、ぼくらが…」−注文の多い料理店 宮沢賢治
「めんどなさいばんしますから、おいでんなさい」−どんぐりと山猫 宮沢賢治
「眼や額からぱちぱち火花を出しました」−セロ弾きのゴーシュ 宮沢賢治
「百歩を隔てて柳葉を射るに百発百中」−名人伝 中島敦
「一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた」−羅生門 芥川龍之介
「ではおれがいいことを一つ教えてやろう」−杜子春 芥川龍之介
「知らざあ言って聞かせやしょう」−白浪五人男 河竹黙阿弥
「月日は百代の過客にして」−おくのほそ道 松尾芭蕉
「山路来て 何やらゆかし すみれ草」−俳句松尾芭蕉
「瘦蛙 まけるな一茶 是に有」−俳句小林一茶
「菜の花や 月は東に 日は西に」−俳句与謝蕪村
「ふるさとの 訛なつかし 停車場の」−短歌石川啄木
感性を磨こう詩・歌
「蜂と神さま」 金子みすゞ
「リンゴ」 まど・みちお
「ひばりのす」 木下夕爾
「倚りかからず」 茨木のり子
「表札」 石垣りん
「母音−ある寂しい日私に与えて」 新川和江
「糸」 中島みゆき
「やさしさに包まれたなら」松任谷由実
「秋桜」 さだまさし
「ヨイトマケの唄」 美輪明宏
「猫」 萩原朔太郎
「およぐひと」 萩原朔太郎
「月夜の浜辺」 中原中也
「汚れつちまつた悲しみに…」 中原中也
「生徒諸君に寄せる」 宮沢賢治
「あすこの田はねえ」 宮沢賢治
「落葉」 新美南吉
「初恋」 島崎藤村
「初恋」 村下孝蔵
「百年後」 タゴール
国語の世界を味わおう(1)日本文学・歌・評論
「鼻」 芥川龍之介
「女生徒」 太宰治
「駈込み訴え」 太宰治
「銀の匙」 中勘助
「風琴と魚の町」 林芙美子
「檸檬」 梶井基次郎
「レモン哀歌」 高村光太郎
「檸檬」 さだまさし
「Lemon」 米津玄師
「渋江抽斎」 森鷗外
「歴史」 宮本浩次
「草枕」 夏目漱石
「陰翳礼讃」 谷崎潤一郎
「四規七則」 千利休
「茶の本」 岡倉覚三
「新茶」 岡本かの子
「画」 正岡子規
「子規の画」 夏目漱石
「平家物語」
「耳なし芳一」 小泉八雲
「怪談牡丹灯籠」 三遊亭圓朝
「余が言文一致の由来」 二葉亭四迷
「福翁自伝」 福沢諭吉
「氷川清話」 勝海舟
「夢酔独言」 勝小吉
「論語物語」 下村湖人
「論語」
「論語と算盤」 渋沢栄一
「おもろさうし」 沖縄古代民謡
「アイヌ語のおもしろさ」 知里真志保
「梟の神の自ら歌った謡『銀の滴降る降るまわりに』」作者不詳 知里幸恵・訳
「方言」 ありがとう/おめでとう/がんばる/さようなら
国語の世界を味わおう(2)世界の名作文学
「赤毛のアン」 L・M・モンゴメリ
「シャネル−人生を語る」 ポール・モラン
「変身」 カフカ
「ドン・キホーテ」 セルバンテス
「レ・ミゼラブル」 ヴィクトル・ユーゴー
「ファウスト」 ゲーテ
「ベートーヴェンの生涯」 ロマン・ロラン
「オイディプス王」 ソポクレス
「罪と罰」 ドストエフスキー
「カラマーゾフの兄弟」 ドストエフスキー
「真夏の夜の夢」 シェイクスピア
「ヴェニスの商人」 シェイクスピア
「ロミオとヂュリエット」 シェイクスピア
「ハムレット」 シェイクスピア
「オセロー」 シェイクスピア
「マクベス」 シェイクスピア
「リヤ王」 シェイクスピア
「第一之書 ガルガンチュワ物語」ラブレー
「百年の孤独」 ガルシア=マルケス
「真の独立への道」M・K・ガーンディー
自分の気持ちを伝えよう(1)手紙・日記
「にあんちゃん」 安本末子
「字のない葉書」 向田邦子
「息子・野口英世あての手紙」 野口シカ
「ゴッホの手紙」
「姉・坂本乙女あての手紙」坂本龍馬
「わがいのち月明に燃ゆ」 林尹夫
自分の気持ちを伝えよう(2)演説・宣言
「ジュリアス・シーザー」シェイクスピア
「北条政子の詞−『吾妻鏡』より」 北条政子
「ゲティズバーグ演説」 リンカーン
「我々の自由への行進は後戻りできない」 ネルソン・マンデラ
「国連本部でのスピーチ」 マララ・ユスフザイ
「そぞろごと」 与謝野晶子
「元始女性は太陽であった。−青鞜発刊に際して」 平塚らいてう
言葉の魅力を味わおう 和歌・漢詩
「百人一首」
「古今和歌集仮名序」 紀貫之
「万葉集」
「独楽吟」 橘曙覧
「静夜思」 李白
「春暁」 孟浩然
「偶成」 西郷隆盛
「春望」 杜甫
「将に東遊せんとして壁に題す」 釈月性
考える力をつけよう哲学
「ソクラテスの弁明」 プラトン
「方法序説」 デカルト
「善の研究」 西田幾多郎
「ツァラトゥストラ」 ニーチェ
「パンセ」 パスカル
もう一段上の日本語力
「あさきゆめみし」 大和和紀
「源氏物語」 紫式部
「簡潔の美」 上村松園
「葵上」 三島由紀夫
「貧窮問答歌」 山上憶良
「枕草子」 清少納言
「徒然草」 兼好法師
「土佐日記」 紀貫之
「更級日記」 菅原孝標女
「風姿花伝」 世阿弥
「うひ山ぶみ」 本居宣長
「独行道」 宮本武蔵
「五輪書」 宮本武蔵
「柴五郎の遺書」 石光真人・編
「直訴状」 田中正造
「国語の自在性」 西田幾多郎
おわりに
主要参考・引用文献
コラム
聞き上手になろう
説明上手になるには
新聞って面白いよ
コメント力をつけよう
NHK Eテレさんの「にほんごであそぼ」の監修もなさっている齋藤氏、類著も多いのですが、「決定版」と謳われています。
光太郎作品は2篇、ともに詩で「道程」(大正3年=1914)、「レモン哀歌」(昭和14年=1914)。「レモン哀歌」に関しては、前後にレモンをモチーフにした他の作品を配しています。 梶井基次郎の小説「檸檬」(大正14年=1925)の全文、続いて「レモン哀歌」が挟まり、さだまさしさんの「檸檬」(昭和53年=1978)と来て、米津玄師さんの「Lemon」(平成30年=2018) 。
その意図はこういうことだそうで……
確かにレモンという果実には「人間の情緒に深く訴えかける不思議な魅力」がありますね。同じ柑橘系でも「蜜柑哀歌」や「ゆず哀歌」ではさまになりませんし、ましてや他の果物では……。林檎あたりはまだポエムになりそうですが、例えばスイカ。「かなしく白くあかるい死の床で」智恵子がスイカにかぶりついたらギャグでしかありませんし、スイカを丸善の棚に置いたり、聖橋から投げたりしたら、超迷惑です(笑)。意味が解らない方は、ぜひ本書をお読み下さい(笑)。
【折々のことば・光太郎】
松雲閣別館。 昨夜はビールの御馳走になる。 ひる頃真壁氏との対談(朝の訪問三十日)録音をすます。放送局より謝礼をもらふ。
昭和27年(1952)3月27日の日記より 光太郎70歳
「松雲閣別館」は、花巻温泉に現存します。「真壁氏」は詩人の真壁仁。「朝の訪問」は当時、NHKラジオで放送されていた番組です。この際の録音がNHKさんに残っており、市販CD化もされましたし、平成28年(2016)には「カルチャーラジオ NHKラジオアーカイブス」という番組でオンエアされました。