光太郎第二の故郷とも云うべき岩手花巻から、企画展情報です。

第二弾・高村光太郎の父・光雲の鈿女命(うずめのみこと) 受け継がれた「形」

期 日 : 2022年2月23日(水)~5月15日(日)
会 場 : 花巻高村光太郎記念館 岩手県花巻市太田3-85-1
時 間 : 8:30~16:30
休 館 : 期間中無休
料 金 : 一般 350円(300円)高等学校生徒及び学生 250円(200円)
      小学校児童及び中学校生徒 150円(100円)( )は20名以上の団体

光太郎の父・光雲作の木彫「鈿女命」や、新たに寄贈された光太郎や光雲に関係する作品を公開します。

関連行事 講座「光雲と東雲の彫刻(仮)」
 期 日 : 2022年3月6日(日) 
 会 場 : 花巻高村光太郎記念館
 時 間 : 10:00~12:00 
 料 金 : 受講料無料 (要観覧券)
 定 員 : 15名 (花巻市内在住・在勤者 要予約・抽選)
 講 師 : 小山弘明(高村光太郎連翹忌運営委員会代表)
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「第二弾」とあるのは、一昨年、同館で開催された「高村光太郎の父・光雲の鈿女命(うずめのみこと)」展が「第一弾」という位置づけのためです。

この際に、光雲四男にして、藤岡家へ養子に入った孟彦(植物学者 明治25=1892~昭和52=1977)の子息であらせられる、横浜ご在住の藤岡貞彦氏(一橋大学名誉教授)から寄贈のあった、光雲作の木彫「鈿女命像」の展示が行われましたが、会期が20日間程しかとれず、「見逃した」「もう一度見たい」的な声があったため、再び同像をメインに据えたわけです。

他にも花巻市に寄贈のあった品々なども、一緒に展示する予定です。

やはり光雲がらみで、銅製の懐中仏「准胝(じゅんてい)観音像」。ちなみに「準提」とも表記されます。

由来がちょっと複雑なのですが、そもそもは東京都文京区の金龍山大圓寺さん。こちらに光雲とその高弟・山本瑞雲、三木宗策の手になる七体の観音像が寄進されました。光雲晩年の昭和4年(1929)から同8年(1933)にかけてのことです。
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その際、各像に、胎内仏としてそれぞれの像のミニチュア版的なものが納められました。そして大圓寺さんで、それを鋳銅仏として複製し、寄進者や檀家などに配付した記録が残っています。
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左下が、準提観音の胎内仏(撮影・髙村規氏)、右下が今回寄贈されたものです。
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この七観音の鋳銅懐中仏、時折、ネットオークションに出ていて、保存状態のいいものであれば、数万円で落札されています(当方、いつも負けています(笑))。できれば七観音コンプリートを目指したいのですが。

で、全く同じ準提観音の鋳銅懐中仏が、全く別々のお二人の方から、ほぼ同時に寄贈されたとのこと。「仏様同士が呼び合ったみたいだ」と、花巻市の担当の方も驚いていらっしゃいました。

それから、光太郎がらみで、英文学者の長沼重隆に送った葉書。長沼訳のホイットマン詩集『草の葉』を贈られた礼状です。『高村光太郎全集』及びその補遺「光太郎遺珠」に、長沼宛の書簡は既に5通採録してありますが、こちらは未収録のものでした。
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さらに、光太郎の書を写した品々。書を贈られた佐藤隆房が院長を務めていた花巻病院で使われていたものとのこと。
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ついでに当方手持ちの、光雲が主任となって作られた皇居前広場の「楠木正成像」、上野公園の「西郷隆盛像」の明治期の錦絵を七枚ばかりお貸ししまして、そちらも展示されるそうです。

更に言うなら、手前味噌で恐縮ですが、関連行事として当方の講座が予定されています。ただ、コロナ禍のため、リモートになる可能性も。

今回は会期が長いので、それだけ多くの方々にご覧頂きたく存じます。コロナ感染には十分お気をつけつつ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

午前九時半川口村の公民館帷子敏雄といふ人来訪、公民館図書館の看板の字をかいてくれとの事、鈴木彦次郎氏のテガミ持参、承諾。二枚の板を置いてゆく。

昭和27年(1952)3月20日の日記より 光太郎70歳

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