今年一年を振り返る第2回です。本日は、4月から6月の事項。05b72b5d-s

4月2日(金)
光太郎65回目の忌日・連翹忌でしたが、残念ながらコロナ禍のため、昨年に引き続き、日比谷松本楼さんでの集いは中止としました。全国の皆様を代表して当方が光太郎奥津城に墓参、それをもって第65回連翹忌に代えさせていただきました。

同日、高村光太郎研究会さんから『高村光太郎研究』第42号(北川太一先生追悼号)、当会から『光太郎資料』第55集が刊行されました。
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さらに同日、『読売新聞』さん東北各県版での連載「とうほく名作散歩」で、「詩集典型 岩手県花巻市 光太郎牛の如き魂刻む」と題し、光太郎が大きく取り上げられました。
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4月5日(月)
4月1日(木)から東京都江戸川区のタワーホール船堀さんで開催されていた「もやい展2021東京」の一環として、能楽師・清水寛二氏による朗唱「「智恵子抄」より」が上演されました。昭和32年(1957)、武智鉄二構成演出、観世寿夫らの作曲・作舞で演じられた「新作能 智恵子抄」を元にしたものでした。
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4月10日(土)~4月18日(日)
千葉県柏市の大洞院ギャラリーさんにおいて、「熱血の旅行作家 山本鉱太郎展」が開催され、山本氏脚本、北川太一先生監修、仙道作三氏作曲の「オペラ智恵子抄」(平成元年=1989)関連資料等が展示されました。

4月15日(木)
筑摩書房さんから長山靖生氏著『日本回帰と文化人─昭和戦前期の理想と悲劇』が刊行されました。第「三章 戦意高揚する詩人たち」中の「高村光太郎──軍神を讃えねばならぬ」、「終章 それぞれの戦後」内の「死んだ者、生き残った者」で光太郎に触れられています。
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同日、劇作家の清水邦夫氏が亡くなりました。清水氏、平成3年(1991)には、光太郎智恵子の物語「哄笑―智恵子、ゼームス坂病院にて―」を、劇団木冬社さんの公演として実施されました。演出も同氏でした。平成5年(1995)には再演も為されました。

4月21日(水)~6月20日(日)
仙台市の島川美術館さんで「島川コレクション 春の展覧会 『横山大観から現代アートまで』」が開催され、光雲作の「聖観音像」が出品されました。
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4月24日(土)
『読売新聞』さん東北各県版での連載「とうほく名作散歩」で、「詩集智恵子抄 福島県二本松市 愛する妻思う青い空」と題し、光太郎智恵子が大きく取り上げられました。

同日、町田市子ども創造キャンパスひなた村カリヨンホールを会場に、ひなた村劇団第40回公演「青鞜の女たち」が行われました。キャストに光太郎智恵子も含まれていました。
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4月24日(土)~5月30日(日)

二本松市の智恵子記念館において、通常は複製が展示されている智恵子紙絵の実物公開が為されました。併せて4月29日(木)~5月30日(日)まで、隣接する智恵子生家の2階特別公開も行われました。

4月29日(木)
花巻市で光太郎顕彰にあたる「やつかの森LLC」さん から「光太郎の食卓カレンダー」が発行されました。
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4月30日(金)
文治堂書店さんから、昨年1月に亡くなられた、当会顧問であらせられた北川太一先生のご遺稿を含む書籍『遺稿「デクノバウ」と「暗愚」 追悼/回想文集』が刊行されました。
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5月12日(水)
BS TBSさんで、「美しい日本に出会う旅▼福島 花めぐり湯めぐり 絶景の桃源郷と山桜のはちみつ酒」が放映され、安達太良山麓土湯温泉、不動湯温泉の紹介の中で、光太郎智恵子に触れられました。
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5月20日(木)
祥伝社さんから志川節子著の小説『博覧男爵』が刊行されました。明治初期、東京国立博物館や国立科学博物館、恩賜上野動物園等の礎を築いた田中芳男を主人公とし、光雲も登場します。
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5月21日(金)
平松混声合唱団さんの「第36回定期演奏会 明日へ向かって発つ~心ひとつに~」が、渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで開催されました。平吉毅州作曲「混声合唱組曲  レモン哀歌」 より抜粋で演奏がありました。
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5月22日(土)~6月20日(日)
現代アートのインスタレーション「毒山凡太朗 反転する光」が、東京都目黒区のLEE SAYAで開催されました。福島の帰還困難区域ツアープロジェクト「IGENE」のプロモーションを目的とし、福島出身の智恵子、その夫・光太郎が象徴的に使われました。
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5月30日(日)
山本順之師の謡と舞台への思いを聴く会」が東京都港区の銕仙会能楽研修所舞台で開催され、能楽師・山本順之氏らによる「連吟 智恵子抄」が演じられました。
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6月1日(火)
マガジンハウスさんからムック『& Premium特別編集 あの人の読書案内。』が刊行されました。デザイナーの皆川明氏が、光太郎の『智恵子抄』(龍星閣新版・昭和26年=1951)、光太郎実弟・豊周の編集による智恵子の紙絵作品集『智恵子の紙絵』(社会思想社・昭和41年=1966)を取り上げて下さっています。
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6月1日(火)~8月31日(火)
明治の洋館を改装した京都市のカフェ「デザートカフェ長楽館」で、「明治の洋館で楽しむドリンクフェア「文学浪漫巡り」~浪漫を味わうひとり時間 レトロなドリンクフェア~」が開催され、『智恵子抄』をイメージして作られた「シトラスジュレのゆずジュース」がメニューに入りました。
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6月3日(木)
NHK Eテレさんで「にほんごであそぼ 祭りのかけごえ」が放映され、光太郎詩「道程」(大正3年=1914)が取り上げられました。再放送が6月17日(木)にありました。
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6月10日(木)
論創社さんから根岸理子氏著の『マダム花子』が刊行されました。ロダンのモデルを務め、その思い出を光太郎に語った日本人女優・太田花子の評伝で、光太郎にも触れられています。
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同日、文治堂書店さんからPR誌『とんぼ』第12号が発行されました。光太郎と交流のあった詩人・野澤一の子息で、『とんぼ』に寄稿されたこともある、野澤俊之氏の追悼文が掲載されています。ご執筆は、野澤氏と親しかった、野澤一研究家の坂脇秀治氏です。他に当方の連載「連翹忌通信」も掲載されています。

6月11日(金)
東京オリンピックの聖火リレーが、青森県十和田湖の、光太郎最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」に到着しました。
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6月20日(日)
潮見佳世乃歌物語コンサート「智恵子抄・羽衣伝説」が、千葉市文化センターを会場に開催されました。
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6月23日(水)~7月4日(日)
六本木の新国立美術館さんにて、書道展「第40回日本教育書道藝術院同人書作展」が開催されました。同人の部・会長奨励賞の平井澄圓氏の作品が、昭和10年(1935)の光太郎エッセイ「新茶の幻想」からの抜粋でした。他に光太郎詩文を題材とした作品が複数入賞・展示されました。

6月26日(土)~7月18日(日)
花巻市の旧菊池捍邸で「菊池捍生誕150周年記念 旧菊池捍邸内覧会とゆかりの人々展」が開催され、戦後、光太郎も訪れた古建築が一般公開されました。関連行事として、光太郎詩の朗読会等も行われました。
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6月26日(土)~7月25日(日)
石川県七尾美術館さんで「26th year 池田コレクション」が開催され、光雲作の木彫「聖観音像」が出品されました。

6月26日(土)~8月29日(日)
花巻市博物館さんでテーマ展「鉄道と花巻—近代のクロスロード—」が開催され、光太郎に関わる展示も為されました。
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6月30日(水)
左右社さんから岡本勝人著『1920年代の東京 高村光太郎、横光利一、堀辰雄』が刊行されました。「高村光太郎の造形芸術」という項を含みます。
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6月30日(水)~8月11日(水)
地上波日本テレビさんで「心に刻む風景 高村光太郎・智恵子」が、オリンピック中継による中断を含み、6回にわたり放映されました。6回の内訳は、「#1 福島・二本松」「#2 フランス・パリ」「#3 千葉・犬吠埼」「#4 東京・日比谷松本楼」「#5 栃木・塩原温泉」「#6 岩手・花巻高村山荘」でした。
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6月(日付不明)
  仏訳智恵子抄『 Poèmes à Chieko』が、中里まき子氏の翻訳によりフランス・ボルドー大学出版会より刊行されました。
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明日は7月から9月分を。

【折々のことば・光太郎】

昨夜新小屋にねる。もう湿けず。カヤなくてよろし。


昭和26年(1951)9月24日の日記より 光太郎69歳

新小屋」は、この年6月に完成した、蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の山小屋増築部分です。竣工当初は材木の湿気が気になり、就寝も元々のあばら屋でしていましたが、この日から機密性の高い新小屋で寝ることにしました。

こちらが現在の新小屋。現在は数十㍍移動され、倉庫として使われています。
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